2021.05.13 08:40

高知・宇佐からの野球伝説「白球黄金時代」刊行 野球オンチと元プロが語るドラマ

「まさか本になるとは」と笑う門田豊重さん=右=と浜村孝さん(土佐市宇佐町)
「まさか本になるとは」と笑う門田豊重さん=右=と浜村孝さん(土佐市宇佐町)
元高知新聞社会部長・依光さん執筆
 土佐市宇佐町に始まる野球伝説を描くノンフィクション本「白球黄金時代 門田豊重、浜村孝が語る高知県宇佐野球物語」(依光隆明著、リーダーズノート出版)が発刊された。宇佐町に暮らす2人の男性を語り部に、野球人たちのドラマと熱い時代が描かれる。

 6人のプロ野球選手を輩出した宇佐町。パ・リーグを代表する強打者となる有藤通世、近鉄の元エース、故・井本隆…。名プレーヤーを生み続けた漁村とは、どんな舞台だったのか。

「白球黄金時代」
「白球黄金時代」
 語り部は宇佐町で小さなガソリンスタンドを営む「野球オンチ」の門田豊重さん(74)と、宇佐中から高知商を経て西鉄、巨人の遊撃手として活躍した浜村孝さん(74)。

 宇佐という町、幼なじみの選手を知り尽くす2人は気の向くまま、自分たちのこと、高知商、高知高、土佐高といった伝説の野球部の秘話や人々を語る。厳しいプロの道を歩んだ浜村さんの人生と、親友を見守り続けた門田さんの話は波乱に富み、有藤さん、長嶋茂雄さん、中西太さん、金田正一さん、川上哲治さんといった選手・名将たちの素顔やシーン、裏話を明かしながら語ってゆく。

 今も野球帽をかぶり、宇佐で干物作りに励む浜村さん。「野球っていいなぁと思いますね。例えばみなが知っているあの試合、あの場面、本当はストライクだったよねぇとか。そういう話ができる」と目を細める。

 宇佐中時代から自称「勉強部」で、野球は素人の門田さん。高知市のサウナ風呂で偶然会った王貞治さんに打法を授かり、ダイエーの主砲、小久保裕紀さんにそっくり打撃指導をしたという、恐れを知らぬおおらかさ。

 逸話を満載した本の書き出しは、この一文。〈信じがたい話だが、プロ野球界を代表する4番バッターに打撃指導をした野球オンチが高知にいる〉

 著者の依光さん(64)は高知新聞の社会部長を経て2008年に朝日新聞に移り、特別報道部長を務めた。現在は長野県諏訪支局長。

 「僕らの少年時代、テレビ中継はいつも巨人戦。長嶋さんと三遊間を組んで守る浜村孝さんのプレーは強烈だった。お二人の話を聞くと、もうむちゃくちゃ面白くて。門田さんは闘病中で余命1年の宣告を受けていると聞いたので、一気に取材して書いた」と話す。時代の活気がよみがえる一冊だ。208ページ。税込み1540円。(石井研)

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