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2021.05.10 08:00

小社会 こぼれ落ちる命

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 〈いのちなき砂のかなしさよ/さらさらと/握れば指のあひだより落つ〉。石川啄木の歌集「一握の砂」の中の有名な一首。すくってもすくってもこぼれ落ちる砂。自らの不遇な人生を重ね合わせて、むなしさを感じたのだろうか。

 砂が落下する一瞬一瞬は、二度と帰ってこない貴重な時間でもあろう。人生には無用な時間など少しもない。そう考えると「いのちなき」無機質な砂が、まるで「いのちそのもの」のようにも思えてくる。啄木はそれをいとおしんでいたのかもしれない。

 「握りしめても握りしめても、指の隙間から命がこぼれ出ていく」。NHKのテレビニュースで先日、神戸市の訪問看護師が語っていた。新型コロナに感染したが入院先が見つからず、自宅待機する患者を巡回している。

 「病院の廊下の隅でいいから息子を入院させて」。30代患者の母親に拝まれ、何とか入院できたものの、後に亡くなった。待機中に死亡するケースも各地で相次いでいる。無力感に陥る一方で、改めて一人一人の命の重さを感じる。多くの医療従事者の思いではないか。

 救える命を救えなかったり、命の選別を余儀なくされたり…。そんな医療崩壊を食い止めることは、行政や医療関係者だけではできない。

 「いま一度、自分や大切な人の命を守るためにできることを、皆さんと一緒に考えていけたら」。訪問看護師が訴えた言葉をしっかり受け止めたい。


5月10日のこよみ。
旧暦の3月29日に当たります。つちのえ うま 七赤 先勝。
日の出は5時09分、日の入りは18時56分。
月の出は4時25分、月の入りは17時30分、月齢は28.0です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時01分、潮位168センチと、17時43分、潮位166センチです。
干潮は11時21分、潮位27センチと、23時32分、潮位63センチです。

5月11日のこよみ。
旧暦の3月30日に当たります。つちのと ひつじ 八白 友引。
日の出は5時09分、日の入りは18時56分。
月の出は4時53分、月の入りは18時26分、月齢は29.0です。
潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時25分、潮位171センチと、18時18分、潮位170センチです。
干潮は11時50分、潮位19センチです。

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