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2021.05.05 08:50

〈こどもの日SP〉小5が牧野博士の生涯解説、植物園で活動3年  川本さん(高知市長浜小)

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牧野富太郎博士が名付けたスエコザサを見ながら「先生が仙台で見つけました」と話す川本琉楓さん(写真はいずれも高知市の県立牧野植物園)

 「牧野富太郎先生は日本の植物分類学の父と呼ばれています」。県立牧野植物園(高知市五台山)で、牧野博士の生涯を解説する小学生がいる。同市の長浜小5年、川本琉楓(るか)さん(10)。帽子とちょうネクタイ姿の小さな〝牧野先生〟の話に、来園者はじっと耳を傾けている。

 川本さんが牧野博士を知ったのは、小学1年で受講した「こうち子ども観光大使育成プログラム」。県内の教員たちが高知の魅力を発信できる小学生を育てようと始めた取り組みで、高知の歴史や食、偉人を学んだ。

 川本さんは「戦いをせず、植物と一緒に生きたところがすごい」と憧れるように。祖母の広美さん(73)と高岡郡佐川町にあるゆかりの場所を訪ねるなどして知識を深めた。

 「植物を心から愛した先生のことを、たくさんの人に知ってもらいたい」という思いが募った小学2年の秋、牧野植物園に発表の場を設けてほしいと依頼。同園の快諾で月1回の「牧野先生のおはなし」が始まった。

来園者の前で解説する川本さん=右端

 毎月第3日曜日に、およそ5分間。生い立ちから極貧時代、ムジナモやスエコザサなど名付けた植物のエピソードを、原稿を持たずに紹介する。

 特に力が入るのは、「日本植物志図篇」などの自費出版に打ち込むくだり。

 「大好きな植物を本にまとめようとした先生の気持ちを考えると強く言いたくなる」そうで、「家は貧乏のどん底です。家賃が払えなかったので30回以上引っ越しました」。抑揚をつけながら話を進めるうちに、声が大きくなっていく。

 50人以上の前で話すこともあり、「よく分かった」「すごいね」と声を掛けられることも多い。一番うれしいのは質問で、「答えられたらうれしいし、答えられなかったら、そこを調べてもっと知ることができるから」。およそ3年間こつこつと続けるうちに「話の幅も広がり、深みも増した」と同園の職員。今年3月には同園から感謝状も贈られた。

 今年の目標は隣に立つようになった4歳の妹、絆心(きずな)ちゃんを育てること。毎月の活動を振り返るノートの表紙には「心に花をさかせよう」と記している。(沢田万亀)

高知のニュース 高知市

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