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2021.04.19 08:00

【観光客最少】高知の特色守る支援を

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 新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年に高知県を訪れた県外観光客数が、現在の集計方法になった03年以降で最少になった。
 前年比で4割近く減った。春の大型連休に緊急事態宣言が出され、夏のよさこい祭りが中止になるなど、書き入れ時が失われたことが大きく影響した。
 長引くコロナ禍で、宿泊施設や飲食店、土産物店など観光関連の事業者は苦境にある。経営と雇用を維持できるよう、国や県は施策を総動員して支援を続けるべきだ。
 近年、高知県を訪れる県外観光客数は伸び、18年に最高の441万2千人を記録し、19年も438万8千人だった。県産業振興計画で目標とした「435万人観光の定常化」を実現しつつあった。
 しかし、新型コロナが全国的に広がった20年3月以降、旅行が自粛されて県外観光客は激減した。感染が落ち着いた秋には、政府の観光支援事業「Go To トラベル」などで一時回復したが、20年は266万7千人にとどまった。
 県外観光客の総消費額も前年比で約4割減り、648億100万円と03年以降で最少だった。
 観光需要の回復が待ち望まれるが、国内は「第4波」が指摘される感染状況で、宿泊業などにとっては頼みの綱だった「Go To―」再開もめどが立たない。
 県外観光客と接し、旅の醍醐味(だいごみ)を提供してきた県内事業者も危機にひんしている。土地ならではの食事やもてなしの心、自然や文化の体験…。宿泊や飲食などで特色あるサービスを追求し、高知の魅力をアピールしてきた人たちだ。
 高知県の観光の貴重な担い手と言えるだろう。多くは中小の事業者であり、経営体力が十分でない場合も多い。事業存続をあきらめることがないよう、資金繰りなどの支援策を継続する必要がある。
 県内は今のところ感染状況が落ち着いているため、県は1人当たり5千円(宿泊は1泊当たり)を上限にして、県内在住者の県内旅行を補助する割引事業を始める。
 期間は4月29日から5月末を計画している。ただ、コロナ対応のステージが、上から2番目の「特別警戒」になれば一時休止する方針だ。
 今後も感染状況を慎重に見極めながら、ブレーキとアクセルを踏み分けるように対応して、県内の観光需要を回復させることが欠かせない。
 コロナ禍は人々の生活様式や価値観を変えたといわれる。旅行にどんな満足感を求めるのか。ニーズの変化を捉え、収束後を見据えた反転攻勢策も準備しておきたい。
 昨年中止されたよさこい祭りは、今年は場所を限定して縮小開催される方向だ。例年とは違う形式でも、高知ならではの文化を守りつなぐ意義は大きい。こうした努力がコロナ後の観光回復にも結びつくはずだ。
 国民のワクチン接種が一定進めば、自粛してきた国内旅行を再開する流れも生まれよう。最優先の旅行先に選ばれる高知を目指したい。

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