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2021.04.12 08:00

【衆参3選挙】信頼回復につながるか

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 菅政権が発足して初の国政選挙は、衆院北海道2区補欠選挙があす告示され、先に告示された参院2選挙とともに25日に投開票される。
 衆院議員の任期満了を10月に控え、菅義偉首相の解散戦略や政権運営に影響する。政権半年の評価を問う選挙であり、新型コロナウイルス対応はもちろん、「政治とカネ」問題も焦点となる。
 北海道は、吉川貴盛元農相=自民離党=の議員辞職による補選だ。元農相は大臣在任中に、鶏卵生産大手元代表から現金を受け取ったとして、収賄罪で在宅起訴された。
 自民党は信頼回復を優先するとして、早々に不戦敗を決めている。だが、解明に取り組む姿勢がなければ信頼回復は難しい。政官業の癒着が農政をゆがめたのではないかという疑念は残ったままだ。
 政官業の癒着は、総務省幹部の接待問題でも浮上した。放送事業会社に勤める首相の息子も関わっている。放送法に違反する外国資本規制をいかにすり抜けたのか、真相の究明が不可欠だ。NTTからの接待攻勢も明らかになっている。
 参院広島選挙区再選挙は、買収事件で有罪となった河井案里前参院議員=同=の当選無効を受けたものだ。この捜査から鶏卵汚職事件が発覚している。
 先の選挙には、自民党本部は党県連の反対を押し切って、改選2議席に現職と案里前議員を擁立した。案里前議員の夫で議員辞職した克行元法相=同、公選法違反罪で公判中=は、地元議員ら100人に計約2900万円を配ったとされる。
 無罪を主張してきた克行元法相は一転して買収を認めた。議員辞職は、衆院の任期満了が近づいて次期衆院選に統合されることになってからだった。今回の参院再選挙への影響を軽減するため同日選となるのを避けたとみられ、そこには有権者に対する思いはうかがえない。
 こうした動きに、自民党の二階俊博幹事長は「他山の石」と述べている。人ごとの受け止めだが、党本部は案里陣営に選挙資金1億5千万円を提供している。現職の10倍に当たる金額だ。
 選挙資金には政党交付金も含まれる。国民の税金が買収原資になった可能性があるということだ。当時の安倍晋三首相や官房長官だった菅首相らが支援した。実態を明らかにして丁寧に説明する必要がある。
 「政治とカネ」を巡っては、当事者が説明責任に背を向けていることも問題だ。前政権からの国会での虚偽答弁やその場をやり過ごそうとする対応が、こうした態度を助長させている。それを改めないことには政治不信は払拭(ふっしょく)されない。
 新型コロナの影響が生活にのしかかる。再拡大の防止やワクチン接種へ向けた態勢整備は急務だ。経済活動との兼ね合いも見逃せない。課題は山積している。
 与党に不祥事の逆風が向かう一方、野党も盤石とは言い難い。政治の信頼回復への一歩とするために、論戦の充実が欠かせない。

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