2021.04.11 08:00
【海洋プラ汚染】使い捨て習慣の見直しを
人間も食事を通じて1人当たり年間5万個を超える量を摂取している恐れがある。英国の大学などが調査して明らかになった。
微小プラの汚染を食い止めなければならない。プラごみの排出量を大幅に減らすため、社会全体でプラ製品を使い捨てる習慣を見直す必要がある。
調査結果では、シーフードを好んで食べる日本の摂取量は世界平均の5万個よりも多く、最大13万個に及ぶと推定された。どのくらいの量が排せつされずに体内に残るのか。人体への影響がどの程度なのか。
それらは未解明だが、微小プラは環境中の有害化学物質を吸着しやすい性質もある。調査チームは「食品からの摂取量を減らす対策を取るべきだ」としている。
今後は人体への影響も懸念される問題として、プラごみの削減に取り組む必要があると言えるだろう。
地上に捨てられたレジ袋やペットボトルなどが排水溝に流れ込み、河川を経由し海に至る。微小プラは紫外線や波の力で劣化し、壊れて大きさが5ミリ以下になったものだ。
海流に乗って世界の海に汚染が広がっている。完全に分解することはなく、数百年間も残り続けると考えられている。このままでは地球温暖化問題と同じく、将来世代にツケを残す結果になりかねない。世界的な取り組みが急がれる。
日本はプラスチック生産量で世界第3位である。加えて国内で出るプラごみは年間800万トンを超えている。その半分程度が容器包装などで使い捨てたプラごみで、1人当たりの排出量は米国に次いで多い。この問題に率先して取り組むべき国際的な責任があろう。
私たちにプラ製品への過度な依存から脱却する「脱プラ」が求められている。その第一歩として昨夏、レジ袋が有料化された。
政府は先月、さらに踏み込んだ対策を取るために「プラスチック資源循環促進法案」を閣議決定した。今国会で成立を目指している。
スプーンやストローなど使い捨てプラ製品を大量に提供する事業者に対し、提供方法の見直しによる削減策を義務付ける。また、家庭から出る食品トレーや文房具などを「プラスチック資源」として一括回収する仕組みを導入するなどの内容だ。
プラごみは大量に焼却処分されており、二酸化炭素の排出源にもなっている。地球温暖化を食い止めるために脱炭素社会を目指す上でもプラごみ削減は避けて通れない。
政府が重視している代替素材の利用やリサイクルの推進も重要であるが、やはり使用する量そのものを減らすことが対策の根幹になろう。
使い捨てのプラ製品を極力使わない。この意識を徹底することが抜本的な解決につながる。一人一人が行動を変えていく必要がある。