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2021.04.10 08:00

【まん延防止拡大】納得できるコロナ対策を

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 政府は、緊急事態宣言に準じた新型コロナウイルス対策を可能にする「まん延防止等重点措置」の対象に東京、京都、沖縄の3都府県を追加することを決めた。すでに適用されている大阪、兵庫、宮城を含め、対象地域は12日から6都府県となる。
 新規感染者の増加に加え、変異株も急拡大している。「自粛疲れ」も指摘されるが、流行の「第4波」へ危機感を強め、一層の対策が必要な局面であるのは間違いない。マスク着用や長距離移動の自粛など改めて防止の基本を積み重ね、流行のピークを抑え込みたい。
 重点措置は、2月に施行された改正特別措置法で新設された。宣言に至る前に、感染拡大を封じ込める目的だ。政府が対象となる都道府県と期間を定め、市町村単位などに範囲を絞ることができる。
 具体的な対策は、飲食店の営業時間を午後8時まで短縮する要請、マスク会食やアクリル板設置の徹底、都府県境をまたぐ移動の自粛要請、イベントの入場制限強化などだ。宣言時と内容はあまり変わらない。
 このため、生活や経済活動で我慢を強いられてきた国民の間には「宣言と何が違うのか」「対応が後手」といった声が根強い。
 5日から重点措置の対象となっている大阪では、宣言が解除された3月1日以降、夜の繁華街で人出が増え、たった1カ月で新たな対応を取らざるを得なくなった。
 東京も先月22日の宣言解除前から新規感染者の増加傾向が続いていた。いずれも経済への配慮があったのだろうが、宣言解除の時期は果たして適切だったのか。見通しの甘さを指摘されても仕方があるまい。
 ただ、さまざまな行動の自粛は無駄ではない。宮城県では重点措置が適用され、新規感染者が着実に減っている。
 国民もこれまでの経験から、感染拡大が「人間の行動」によって左右されていることは十分認識していよう。むしろ不満の根底にあるのは、「自粛頼み」の対策を求めながら、政府の対策が十分ではない点ではないか。
 政府は宣言を解除するに際し、変異株を見つけるスクリーニング検査を40%程度に引き上げる方針を示したが、「第4波」が鮮明になりつつある現在も実現できていない。
 まん延防止の切り札とされるワクチン接種も先進各国と比べて遅れが目立ち、供給のめども見通せないままだ。時短要請に応じた飲食店への協力金なども支給の遅れが指摘されている。
 コロナウイルスとの闘いでは流行や経済状況を見極めながら、アクセルとブレーキを踏み分けていく機動的な対応が不可欠だ。一方で、宣言や重点措置はそれを繰り返すほど、国民に対する注意喚起の効果が薄れていくことも否めない。
 変異株が多い「第4波」は、第3波を上回る犠牲者が出かねないとの予測もある。政府に求められるのは、国民への一方通行の要請ではなく、国民が納得できる対策である。

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