2021.04.09 08:38

「聞く介護」をオンラインでも、本山町のデイサービス長老大学が新展開 高知県外の聞き役や利用者も

タブレット越しに「聞き取り介護」を受ける和田邦美さん (本山町吉野の「デイサービス長老大学」)
タブレット越しに「聞き取り介護」を受ける和田邦美さん (本山町吉野の「デイサービス長老大学」)

 高齢者への「聞き取り介護」に取り組む長岡郡本山町吉野の「デイサービス長老大学」が、オンラインでも同サービスに乗り出している。新型コロナウイルス感染を防ぎつつ、認知症予防などにつなげる狙い。沢本洋介代表(44)は「リハビリ効果は対面と変わらない」と、利用拡大を図っている。

 「―長老大学」は2015年開所。高齢者が昔の暮らしや体験を語ることで記憶やコミュニケーション力を維持・改善してもらおうと、聞き取り介護を行っている。聞き取った昔話は民俗学の観点からも記録、ウェブ上で公開している。

 しかし、施設は昨春以降、新型コロナ感染予防のため歌や体操などのレクリエーションを休止または簡素化。聞き取りは仕切り板を挟んで今年3月に再開したが、沢本代表は「一日中寝たり、認知症が進んだりする利用者が増えてしまった」と振り返る。

 一方でこの間、沢本代表はコロナ下の新たな介護を模索。親交のある県外の介護士ら4人と協力し昨秋、オンラインの聞き取りサービスを始めた。1回30分で、これまでに施設利用者21人のうち12人の希望があった。

 「生き残れたのは幸せでした」。3月下旬、施設内で和田邦美さん(98)=土佐町田井=がタブレットに向かいミャンマー出兵時の記憶を熱心に語った。画面の向こうの聞き役は、戦争体験を調査している横浜市の作家という。和田さんは終始笑顔で「毎回うれしゅうて次が待ち遠しい」と話した。

 施設に通う高齢者のほか、ネット上でサービスを知った県外の利用者もいる。沢本代表が聞き役になっている東京都の80代女性は、「これでしたら思い切り話せていいですね。化粧をして毎回楽しんでいます」と笑う。

 今後の事業成長には、それぞれ通常の業務もある聞き役の増員や、高齢者側でネット端末の設定ができるかといった課題もあるという。それでも沢本代表は「コロナ下にあってオンライン介護は重要度を増す。県外、国外も視野にノウハウを蓄積したい」と意気込んでいる。(竹内将史)

カテゴリー: 医療・健康高知のニュース福祉嶺北

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