2021.04.07 08:00

【子どもの養育費】不払いなくす仕組みを

 親が離婚した後の養育費の不払いが多く、子どもの貧困を招く原因になっている。
 法相の諮問機関である法制審議会の部会で、その解消に向けた議論が始まった。養育費の請求権を子の権利として明記する法改正などを検討する。
 養育費を受け取れず、生活が困窮して健全な成長を阻害されたり、やりたいことや進学をあきらめたりする子どもたちがいる。
 子の利益を守る必要がある。国は養育費の不払いをなくす仕組みづくりを急がねばならない。
 厚生労働省の2016年度の調査では、全国のひとり親世帯は140万世帯に上る。母親が子どもを引き取るケースが大半で、母子世帯が9割近くを占める。
 民法は、離婚する夫婦は養育費について協議して定めるとしている。ところが、離婚時に養育費に関する取り決めをした母子世帯の割合は約43%で、実際に支払いを受けているのは約24%にすぎない。親の都合で不払いが横行しており、多くの子どもが不利益を被っている。
 ひとり親世帯の貧困率は5割近くに上る。母子世帯の平均年収は243万円と低い上、養育費不払いが貧困に拍車を掛けている。離婚したからといって親の責任を放棄するような「支払い逃れ」は許されない。
 法制審の部会では、離婚時の養育費の取り決めを促し、支払いを確実にする方策を議論する。離婚届と併せて取り決めを届け出る制度などが提案されている。
 ただ、家庭内暴力などがあり、話し合いができない状況で離婚に至るケースも少なくない。そうした場合に応じ、取り決めがされるまでの間、子どもの年齢や人数などから算出される法定額を請求できるかも検討される。
 未成年の子どもがいる夫婦の離婚は年12万件に上っている。現状では、養育費の支払いは当事者任せとなっている。
 一方で、海外では国が養育費の確保に大きな役割を果たしている。米国や英国などは給与天引きなどの強制徴収を行っている。ドイツやスウェーデンは国が養育費を立て替え払いする制度を導入している。
 日本でも、兵庫県明石市が独自の取り組みを行っている。市が支払いのない養育費を立て替えた上で、元夫らに請求している。相手に督促して支払われる実績も上がっているという。
 これら先進例を参考にしながら、国や行政機関の関与を強めることが不払いの解消に欠かせないだろう。
 制度に工夫を凝らし、父母にさまざまな離婚事情があっても、子どもの養育費確保に二の足を踏むことがないようにしたい。相談体制も充実させ、養育費が確実に受け取れる仕組みをつくらねばならない。
 新型コロナウイルスの感染拡大による景気悪化で、養育費の支払いが滞るケースも増えている。困窮するひとり親家庭への支援を強化し、子どもたちの健全な成長を守りたい。

カテゴリー: 社説

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