2021.04.05 06:00
【ニュースなぜなに】聖火リレー 五輪へ期待を高める目的
初めて実施されたのは1936年のドイツ・ベルリン大会です。大会組織委員会のカール・ディーム事務総長が、たいまつで火を運んだ古代ギリシャの「たいまつ競争」から発案したそうです。
ところがドイツは大会後の第2次世界大戦で、聖火リレーのルートを逆にたどるように、各国に軍を進めました。リレーが戦争に利用されたと批判されてしまいます。
このため戦後初の五輪となったロンドン大会では、実施するかが議論となりました。それでも今日まで聖火リレーが続いたのは、大会直前に五輪への関心と期待を高める目的が大きいためです。
火は古代ギリシャで神聖なものとされ、五輪のシンボルにもなりました。大会が始まる数カ月前、ギリシャ西部のオリンピアで太陽光を鏡に反射させて火を採取します。ここは古代にオリンピックが開かれた場所です。
その火で、ギリシャ国内で聖火リレーをし、五輪を開く国に引きつぎます。その国でも聖火リレーを行い、五輪を開催する都市の聖火台に最後の走者が点火し、大会が終わるまでともされます。
1964年の東京五輪では、第2次世界大戦後にアメリカに統治されていた沖縄で始まり、その後、鹿児島、宮崎、北海道から四つのルートに分かれ、約1カ月かけて全都道府県を回りました。
今回の大会では7月23日の開会式までの121日間、約1万人の走者が聖火をつなぎ、すべての都道府県を回る計画です。ルートには世界遺産や観光の名所、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨などの被災地も入っています。