2021.04.01 08:40
追跡・白いダイヤ~高知の現場から~第二部 流通(2)裏ルートが表を支える
「まいど」
今年1月のある夜、採捕人の60代男性が県内の浜で採ったシラスウナギを持って、指定集荷人の自宅を訪ねた。
男性は10年近く前に仕事をリタイアし、故郷の港町に帰ってきた。知人に誘われてシラス漁を始め、漁期中は毎日、6時間ほど精を出す。
ある程度の量がたまると、集荷人に持ち込む。今回は1週間ほどで291グラムを集めた。
「まあ、おまけして300グラムやね」
集荷人は部屋の奥から手提げ金庫を取り出した。中には100万円以上の札束が収められている。
「お疲れさん」と手渡したのは21万円。「ほな」と立ち去ろうとする男性を集荷人が「ちょっと待ち」と呼び止める。「毎日、寒いろう。これでコーヒーでも買いや」と1万円を手渡した。…