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2021.03.31 08:00

【ミャンマー弾圧】国際社会は結束し圧力を

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 ミャンマー国軍のクーデターに抗議するデモへの弾圧が強まっている。人権団体によると、弾圧による死者は500人を超えた。
 「国軍記念日」の27日には、1日として最悪の114人が殺害され、その後も弾圧を緩めていない。報道では、反軍政デモの参加者に手りゅう弾を使用し、また重傷の男性を火の中に投げ入れた。子どもも殺害されている。犠牲者の葬列に向けて発砲した事例もあるという。
 2月1日の国軍によるクーデター以降、民主化の継続を求める市民は、時に数百万人規模となる反軍政デモを行い、また職務を放棄する不服従運動を展開してきた。
 これに対し、治安部隊は実力行使による弾圧を強化してきた。国軍は最重要行事である記念日を妨害しようとすれば「頭部に銃撃を受ける危険がある」と、国民に射殺を警告した。治安部隊は気後れすることなく市民に銃口を向け、凄惨(せいさん)な事態を招いてしまった。
 ミン・アウン・フライン総司令官は、抗議デモは「国家の安定、団結、平和を損なう」と虐殺を正当化し、今後の統治に自信を示している。しかし、昨年11月の選挙で国民が選択したのは軍政ではなく民政の継続だったことは明らかだ。
 犠牲者が増えることに国際社会は非難の声を高めている。国連のグテレス事務総長は「最も強い言葉で非難する」との声明を出した。日本や米国など12カ国の軍や自衛隊制服組トップは、国軍に暴力停止を呼び掛けた。米国はミャンマーとの貿易や投資に関する取り決めを停止すると発表した。
 加藤勝信官房長官も強い非難を表明し、対応を探る意向を示した。日本は実態が不明な中国を除くと最大のミャンマー支援国で、国軍とのパイプも築いている。経済的なつながりを考慮して慎重な対応をとってきたが、より積極的な対応が求められる局面となっている。
 事態の沈静化へ向け、国際社会の圧力を強める必要がある。
 無視できないのは中国、ロシアの動向だろう。中国は情勢の緩和を望むとしながら、軍政への直接批判は避けている。
 記念日の式典参加は中ロなど8カ国にとどまった。例年20~30カ国の代表が出席しているようで、孤立化が浮き彫りになった一方、中ロとの関係強化が想定される。
 国連安全保障理事会はミャンマー情勢に関する緊急会合を開く。これまでに採択した議長声明の表現は当初案より後退してしまった。
 今回は踏み込んだ対応を打ち出せるかが焦点となるが、中ロは連携を強化し、関係が悪化する米欧と対決する姿勢を鮮明にしている。両国の対応には不透明感が漂う。
 ミャンマーでは自治権拡大を掲げる少数民族武装勢力が国軍との対決姿勢を強め、国軍は武装勢力の支配地域を空爆するなど混迷が深まっている。弾圧をやめさせ、混乱は鎮めなければならない。協調へ向けた日本の外交努力も試されている。

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