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2021.03.08 08:00

【CO2課金制】「脱炭素化」を急ぎたい

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 国政でも県政でも、脱炭素社会を目指す「グリーン化」が政策展開のキーワードになっている。
 その柱になる「カーボンプライシング」の本格導入に向けた議論が国レベルで始まった。
 二酸化炭素(CO2)の排出に課金する制度のことだ。主に炭素税と排出量取引の二つがあり、削減を促す効果が高いとされる。
 地球温暖化対策は待ったなしである。日本は2050年までに国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにすると宣言した。カーボンプライシングの導入を進める必要がある。
 菅義偉首相は昨年12月、脱炭素社会の実現に向けた「グリーン成長戦略」を発表した。環境省と経済産業省がそれぞれの有識者会議で導入を検討している。どちらも年内に一定の結論を出す見込みだ。
 カーボンプライシングのうち、炭素税は排出量に応じて石油や石炭など化石燃料に課税する。排出量取引は政府が排出量に上限を設け、超過した企業と排出の少ない企業との間で排出枠を売買する仕組みだ。
 1990年にフィンランドが初めて炭素税を導入したのを皮切りに、60以上の国や地域が導入もしくは導入を予定するまでに広がっている。
 企業や家庭からの排出量を「見える化」でき、排出削減や再生可能エネルギーへの転換を強く促せる。
 日本は炭素税として12年に地球温暖化対策税を導入したが、他国に比べて税率が大幅に低い上、主に燃料の輸入業者に課されているため、一般の国民に意識されていない。排出量取引も東京都と埼玉県が独自に実施している例に限られる。
 しかし、このまま対応が遅れてしまえば国際的な「環境重視」の潮流から取り残されかねない。欧州連合(EU)では環境規制が緩い国からの輸入品に課税する「国境調整措置(国境炭素税)」を導入予定だ。
 カーボンプライシングは拡大しており、先行してきた欧州各国は大幅なCO2削減を果たしながら経済成長も両立させている。日本にも可能なはずで、国内の実情に即した仕組みづくりに知恵を絞る時が来ている。
 導入には国民の理解が欠かせない。なぜ課金してまでCO2排出を減らす必要があるのか。世界各国で「50年排出ゼロ」を達成しないと、気温上昇が十分に抑えられず、人類の生存を脅かすような海面上昇や食糧不足が起きると予想されている。日本の社会全体で地球温暖化への危機意識を持つ必要があろう。
 高知県も2021年度から「グリーン化」を加速させる。浜田省司知事は2月県議会の所信表明で「脱炭素化に向けた国の政策展開を追い風に、県勢発展につなげる」と述べた。
 まず森林整備や環境に配慮した企業の支援を図り、施策を展開するためのアクションプランを策定する。
 脱炭素化によって、社会や経済のシステムは大きく変わると予想されている。未来の高知はどんな地域を目指すのか。県内で地球環境問題への関心を高めながら、自然豊かな強みを生かす将来像を描きたい。

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