2021.03.06 08:00

【緊急事態再延長】感染防止へあらゆる手を

 政府は新型コロナウイルス対応で首都圏1都3県に発令している緊急事態宣言について、7日までの期限を21日まで2週間再延長することを決めた。
 感染者数の減少鈍化や病床の逼迫(ひっぱく)を踏まえ、自治体や専門家からも延長を求める声が上がっていた。感染が再拡大すれば医療従事者の負担が高まり、今後本格化するワクチン接種の妨げにもなる。
 宣言の再延長はやむを得ない。大事なのはどうやって感染を抑え込むのか、どうなれば解除するのか、国民に明確に示すことだ。
 今回の緊急事態宣言は今年1月初めに発令。当初は1カ月での解除を目指したが、2度の延長により初めて宣言期間が2カ月を超えることになった。
 政府は飲食店に重点を置いた感染防止対策に取り組んできた。しかし、それだけでは宣言解除にもっていくことができなかったことを重く受け止める必要がある。
 今後は再拡大の予兆をつかむために、街で無症状の人に参加してもらう「モニタリング検査」を実施する。既に大阪や兵庫、京都で始めた。濃厚接触者を洗い出す積極的疫学調査も進める。集団感染の発生源をいち早く探知するため、保健所の調査強化や人材確保、業務の外部委託も推進する。
 PCR検査を「いつでも、どこでも、何度でも」受けられるよう、体制を拡充することや、保健所の機能強化は以前から指摘されていた。いまだにそれが十分改善されていないのだとすれば驚きを禁じ得ない。再拡大を招かないよう、あらゆる措置を講じなければならない。
 緊急事態宣言の解除は「ステージ4」(爆発的感染拡大)と評価される地域が、少なくとも「ステージ3」(感染急増)相当に落ち着くことが目安となっている。関西など6府県が2月末で先行解除された際は、目安のクリアが強調された。
 今回4都県についても、菅義偉首相は「ほとんどの指標でクリアしている」としつつ、さらに「ベクトルが下に行くことが大事だ」と述べた。解除の基準が曖昧では国民は混乱する。
 首相の再延長表明は、解除に慎重姿勢だった小池百合子都知事らの機先を制する狙いも指摘されている。政府側には都の感染対策への不満があるようだが、国と自治体が一枚岩にならなければ感染収束など到底おぼつかない。
 今月25日には東京五輪・パラリンピックの聖火リレーが始まる。再延長を2週間としたのは、それまでに感染を落ち着かせたい思惑がうかがえる。むろん、スケジュールありきであってはならない。最優先すべきなのは、国民の命と暮らしを守るための判断である。
 感染力が強いとされるコロナの変異株が国内でも広がっている。感染防止の今が正念場だ。これまで以上に緊張感を持った対応が求められることを、政府は肝に銘じなければならない。

カテゴリー: 社説

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