2021.03.05 08:00

【森友応接録】不開示46回で何を隠した

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る学校関係者らとのやりとりを記録した応接録の情報公開請求に対し、財務省は文書が存在しないことを理由に計46回の不開示決定をしていた。麻生太郎財務相が衆院予算委員会で明らかにした。
 実際には応接録は存在し、一部職員はそのことを認識していたとされる。それにもかかわらず虚偽決定を繰り返していたことになり、極めて悪質だ。
 麻生氏は「誠に遺憾」と述べたが、情報公開法違反が疑われかねない事態だ。行政がゆがめられてはならない。森友問題の全容の解明に取り組む誠実な姿勢が求められる。
 不開示決定は、2017年3月~18年5月に財務省の本省で9回、近畿財務局で37回あったとする。
 財務省が18年6月に公表した決裁文書改ざんの調査報告書によると、情報公開請求により応接録の開示を求められるケースも相次いだが、「その都度、『文書不存在』を理由に不開示の決定」を行ってきた。こうした事実は明らかにしていたが、回数は不明だった。その多さゆえに隠していたと思えるほどだ。
 報告書によると、理財局は売買契約が締結された16年6月を「事案終了」に当たると整理した。佐川宣寿理財局長(当時)は17年2月の衆院予算委員会で、交渉記録は保存期間が1年未満とされ、「記録が残っていない」と答弁した。
 当時の理財局総務課長や国有財産審理室長は、文書が残っていることを「認識していたものと認められる」と指摘している。一方、理財局長は存否を確認しないまま廃棄されているはずだと認識したことや、総務課長の、残っているならば適切に処理するよう指示されたものとする受け止めを記している。
 内向きで、身勝手な解釈だ。それで何を守ろうとしたのか。
 森友問題を巡っては、決裁文書を改ざんさせられ、自殺に追い込まれた元近畿財務局職員の妻が、国などに損害賠償を求めている裁判で、元職員が改ざんの過程を記したとされるファイルなどの提出を申し立てた。国側は請求棄却を求め争う姿勢で、ファイルの存否さえ明らかにしない。「真相を知りたい」という妻の思いに寄り添う姿勢は見えない。
 安倍政権下では、森友問題で事実と異なる政府答弁が計139回あったことが判明している。これには、学園との応接録がありながら不存在とした答弁も含まれる。
 また、「桜を見る会」前日の夕食会費問題でも100回を超える「虚偽答弁」が行われた。国会、ひいては国民の軽視も甚だしい。
 人事権を振りかざして官邸の意向に従わせ、全体の奉仕者である官僚に忖度(そんたく)と身内優遇とをはびこらせる。官僚の倫理観も相当ぐらついている。総務、農水省の官僚は利害関係者から接待を受けて処分される不祥事も起きている。
 行政の公平性、透明性に疑念が向けられていることをしっかり認識して、検証が必要だ。

カテゴリー: 社説

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