2021.03.08 07:38

イドバタ 私はこう思う 第2回「『わきまえる』って何?」

日々の生活の中で「誰かに言いたいな」と思ったことを気軽に投稿してもらう企画「イドバタ」。毎回テーマに沿って、時にゆる~く、時に真面目に、寄せられた声を紹介します。


今回のテーマは「『わきまえる』って何?」。東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の発言をきっかけに注目を集める「わきまえる」という言葉。「正しく判断して理解する」「心得る」といった意味ですが、皆さんの考える「わきまえ」とは? 今回の発言に関する感想や「わきまえる」意味や体験についてお聞きしました。

まずは体験や身の回りの「わきまえる」に関するご意見を二つ。

■私は介護に携わる仕事をしている。主に利用者さまのお宅に伺ってサービスを提供する。最近、スーパーやラインなどで「○○の地区の人がコロナにかかったと! 気をつけよ!」「どこの誰さんがかかった言うけど、あんた関係ない?」など、声をかけられることが多くある。言ってくださる方も親切な気持ちで言ってくださっているのだろうが、誰が感染しようが、対策は同じ、うつらないうつさないである。高知では、まだまだ誰が感染したかが記者発表前に情報として入ってくる。それを他者に広めることはしない。それが、私にできる「わきまえる」の一つです。(四万十市、43歳女性)

■職場では基本的に「わきまえず」に喋りゆうつもり。その方がざっくばらん感があって腹割って話しやすい。だから年下からもわきまえられたくない。けど実はどっかで他の人の顔色を気にして喋りゆう自分もおる。踏み込みすぎられたくない自分もおる。結局「わきまえる」って相手に忖度して自分の気持ちを伝えんことというより、踏み込んだらいかんところを「わきまえる」のかもしれん。思いやり?に近いことかな? 自分が心がけるのはかまんけど、それを他人に押し付けたらいかんでねぇ…気持ちはわかるけど…。ってまぁ、このどっちつかずの意見も「わきまえちゅう」って言うことやろかね?(高知市、28歳男性、公務員)

 さて、身近なエピソードは後ろでもたっぷり紹介するとして、次は森前会長の発言に関するご意見です。憤りや悲しみ、批判、そして日本のジェンダーに対する意識を問題視する意見が多く寄せられました。

「この世界を娘に引き継ぎたくない」
「何度でも言う。わきまえるべきは女性ではない」


■女性は会合で「わきまえて」いないですって? 少なくとも私の周りでは、会議で長話しができるほど、女性は「ヒマ」ではありません。買物、料理に風呂掃除、子どもの送迎に家族の介護、寝かしつけ。女性の話が長く聞こえる人は、このような女性の現実を根拠とした発言に、「耳が痛い」からでは?(高知市、47歳女性)

■「物の道理を十分に知る」これが「わきまえる」の意味だが、人間に使うと妙に居心地が悪くなる。「道理」ではなく「相手の意向を知る」となる。先日の森氏の「女性委員が多いと会が長くなる」発言は、わきまえた女性は発言が短いまたは発言しない?ということか。森氏は、この失言を謝罪し辞任した形だが、あれは失言ではなく本音だった。政治の場では、こんなに世の中の変化に疎くても国際的な大役を任されるのか。多様性といいながら、男社会の悪習を断ち切れない人がまだまだいることを、2月13日の高知新聞世相パックはよく表している。女性蔑視で尊重のない人から「わきまえない」と言われても、それはあなただと返したい。(高知市、67歳女性、団体職員)

■子どもたちよ、ごめんね。大人たちが、(特に女性が)「わきまえてきた」から、医学部受験で女子差別がまかりとおるような、夫婦別姓がかたくなに拒否されるような、ジェンダーギャップ指数121位(153カ国中)の国になってしまったんだよね。わきまえずに、どんどん声をあげて、社会も文化もつくりかえよう。(高知市、41歳女性、公務員)

■「わきまえろ」とは、力のある主体からそうでない立場に対して呼びかけられることが多い。それゆえ、言葉の本来の意味を他者に伝えることよりも、相手を黙らせたり自らの力を誇示したりすることを意図して発言している。そんなふうに感じることがこれまでの人生の中でたびたびあった。今回の森発言も、女を下に見ている意識が露呈していた。その場にいた評議員が笑うだけだったこと、「余人をもって代えがたい」と政権与党の幹部・中堅がかばい続けたことと合わせて、心底ゲンナリした。立法府の大半やメガイベントをめぐる意思決定に関与する人たちのモラルがどの程度であるかについても、今回のことで見せつけられたからだ。自らが持つ差別意識に無自覚で改善の努力をも怠る人は、容易に差別実践を繰り返しそうで恐ろしい。そうした方々には、オリンピック憲章とIOC倫理規定を熟読し、自分の立場をわきまえた振る舞いに徹してほしいものだ。(高知市、36歳女性)

■わきまえるべきは、森さんをはじめとする潜在的な女性差別を拭いきれない人々。日本は、女性活躍どころか男女平等が実現できていない。ジェンダーギャップ指数の低迷が動かぬ証拠だ。「すべての女性たちよ、数ではマイノリティでないのに、いつまでマイノリティに甘んじているんだ!」と怒りを思い出させてくれたのが、今回の騒動だ。そして、私は、この世界を娘には引き継ぎたくはないと改めて思う。何度でも言う。わきまえるべきは、私たち女性ではないことは明らかだ。(福島県郡山市、51歳女性、公務員)

 ここまで紹介した意見もそうですが、今回の騒動をきっかけに「わきまえる」こととは何かを考え、社会のありようを改めて問い直した人は多かったようです。

「国際標準にはわきまえないことが大事」
「自己顕示欲と承認欲求の強い人」


■「わきまえる」という言葉には恐さを感じる。「あの人はわきまえた人だ」、「そのくらいのことはわきまえておけ」。わきまえる人はたたえられ、わきまえない人は非難され排除される。何をわきまえたらいいのか? それは人と人との間に生まれる"目に見えない正解"なのかもしれない。社会によって形作られた正解をわきまえないと災難が降りかかる。それが本当に正解かどうかはさておき…。「わきまえる」とは恐ろしい。(高知市、32歳女性)

■わきまえてない人は反論に対して的を射ていないのに自己陶酔で論点をすり替える人。自己顕示欲と承認欲求の強い人。(四万十市、43歳男性、会社員)

■森氏の「わきまえる」という発言は、「自分たちの意に沿う振る舞いのできる女だったらメンバーに入れてやってもいい」という意味でしたよね。そのような状態は「女性活躍」ではないし、多様性のある社会とは程遠いと思います。高知の女性は強いと言われます。たしかにバシッと発言するカッコいいお姉さま方が多いのは確かだし、そんな先輩たちには憧れます。でもみんながみんな声をあげられているわけではないようにも思います。せっかく声を上げてもないものとされ問題とされない、そんな姿も目にします。若い人、声を上げにくい状況の人が声を上げられる高知になってほしい。なおそんな私は「わきまえない女」なので、ガンガン声を上げていきます。出すぎた杭は打たれません。空気は読んだうえで無視するのが秘訣です。(高知市=東北地方出身、39歳女性)

■「わきまえる」、よく言われる「世間」「空気」と同じようなことなのかなと思います。少数派の人の意見はおいておいて、物事を進めていく。高度成長期のような時代は、わきまえて、マジョリティの意見に従う方がいい場合も多かったのかもしれませんが、今は多様性を大事にする時代。「誰一人取り残さない」SDGsの考え方からしてもさまざまな立場の人の意見を対等な立場で議論することが必要だと思いますが…。まだまだ日本社会ではできていないのかなと感じます。ただ女性をはじめとしたマイノリティ側も、わきまえることが当たり前になっていて、声を上げるハードルが高くなっているような気がします。先日特集されていた災害時などは、そのようなことが顕著に表れてしまうのではないでしょうか。今回の森さんの発言についても、海外から多くの批判があったこと、国際標準になるためには、「わきまえないこと」大事かなと感じます。(高知市、47歳女性、公務員)

■本来ならば「他者のもつ背景や事情に配慮して協調する」というような文脈で使われる語だと思うのですが、現状では「強く発言し過ぎない」とか「極力問題にならないようにその場を収める」ことが「わきまえる」の典型例になっているように感じられます。差別的な言動に対して後者の意味で「わきまえて」しまうのは差別を再生産していることにすぎないし、自分自身が誰かの言動に傷ついても「わきまえよう」と努力することは仕方のないことではあるけれど…。結局のところ、権威性に従属することにつながりハラスメント行為などを告発できないままに、最後は自らが深く傷つくことになってしまうのではないかと思います。学生身分の私がそこまで「わきまえ」を強制される機会に遭遇することはありませんが、きっといろんな世代の、特に女性が「わきまえろ」と暗黙裡に言われてきたのではないかと、なんとなく思っています。みんな変に「わきまえ」なくていい時代をつくっていけたらいいな、とぼんやり思いながら。(高知市=愛知県出身、22歳女性、学生)

■わきま・える(弁える) ①どれだけ苦しい目に遭っても、黙して周囲に気を使うこと。訴えは社会的地位の前に退けられると知ること。やがて己が命を絶ったとて想いが残るとは期待しないこと。②出る杭は打たれ、出ない腐れ木は残ること。日本古来の風習とされる。(四万十市、33歳男性)

■森さんの件で、世間がわあわあいっているが誰が正しいのかよくわからん。こんなときこそマスコミは発言の全文を国民に提示すべきでは? 発言の切り取りとワイドショーとSNSでは何が真実かわからん!(安芸市、58歳男性、自営業)

■人の上に立つ者の発言には大いなる責任が伴うと勝手に思っている。私自身はまったく人の上に立ったことがないので、その負担のほどが分からないが。今回の森前会長の発言は女性を優秀だとおっしゃられたり、本人はかなり「誉めている」つもりなのだろう。個人的には男はこう、女はこうと限定的に言っている時点で頭が固いなと思った。女性を持ち上げているようで無意識に下げている男性はわりと多い。教諭でもいる。(森前会長が言う)「競争意識が高いという女性の性質」を「わきまえ」、出さないようにすることを良しとする会長のような人は少なくないだろう。どの人も「わきまえる」意義とはなんなのか、身近な問題として考え直さなければならない。(香美市、16歳女性、学生)

 最後に身近な「わきまえる」をどうぞ。

「私にできる『わきまえる』」
「手に取った服の似合わなさに…」


■作業の慰労会で幹事の方が「今日は女性も疲れていると思うので酒わかしなど何もしなくていいです。ゆっくり食べて飲んでください。皆さん自分の事は自分でするように」と言っていたのに、Mさん世代の方が私に「酒持ってこい!」と…。私は「今日は何もせんでいいと言われちゅうけ」と言うと「何、偉そうに言いゆうな! 持ってこいや!」。きっと私はわきまえない女です。(県中央部、62歳女性)

■染めんかったら白髪だらけでー。顔のたるみすごいちや。かわいい!と手に取った服の色もデザインも、あまりの似合わなさに、「すみませんでした」と返さなくてはいけないお年頃。もう、私らもわきまえないかんがよねぇー。そう、わきまえ。これが最近の友人との会話の締めくくりです…。(香美市、47歳女性)

■基本「分を弁える」生き方が大切だ。時折、知らないことにまで首を突っ込む人がいるが見苦しい。例えば、ある新聞が「アメリカの国会議事堂の中で何が起こったかは知るよしもないが、何かが起こったことは事実である」と書いた。違和感を感じた。「知るよしもないのであれば書くなよ」と。私は勘繰った。「中で何が起こったかは知るよしもない」と言い訳を挿入して記事を完成させたに相違ないと。暴動を起こした者は全員逮捕されているのだから、「知るよしもないなどと言ってないで、警察に聞いて書けよ」と言いたいくらいである。(高知市、78歳男性)

■高齢者だからといってボーッとせず気合いを入れて生きて行こうよ、渡りもしない横断歩道の前に立たないで。欲を出して詐欺話に乗らないで。 お互い年をわきまえて世の中に迷惑かけないように、邪魔にならないように余生を楽しめたら良いね。(高知市、68歳女性)

■気疲れするタイプです。東京暮らしが長かったこともあり、土佐弁で言われると相手の考えや思い以上に強く委縮し、意見や主張より、わきまえる選択肢が時に楽に思えます。歳を重ねるにつれつらいですが、粘り強さと元気を備え、話し合える関係性を築くことから逃げないように生きたいものです。頑張ります。(高知市、48歳女性)

■私の場合は自分の立ち位置ですね! 母として、姑として、ばあちゃんとして、友人として、その他、親戚や赤の他人さま…。いろいろワキマエ過ぎて、おしゃべりも億劫になるよ。(高知市、68歳女性)

■元野良猫のうちの猫は、安いキャットフードを食べない。見ただけで安物と分かるらしく、フンと言って顔をそむける。立場をわきまえろ!と言うと、わきまえるって何?って顔をする。(高知市、64歳女性)

■現役を退いた元◯◯、例えば議員、公務員、社長や役職員などなど、現職の頃は立場上、優位性は認めるが、現役を退いた後も脳内が麻痺したまま修整不可なのか、偉そうな言動に現役世代はウンザリ! 無職・無役になればただの人! ただの年寄り!! えぇかげんわきまえろ! こう言う自分も元公務員。現役時代に、この手の輩に手を焼いた。だから反面教師として、わきまえた老人になろうと葛藤しつつ控えめに生きている。(高知市、64歳男性)

■結婚して◯◯年たつが夫の実家へお邪魔したとき私はお客様状態で何もしません! わきまえてない、ということになるでしょうか? 実の息子である夫が何もせずくつろいでるのに他人である妻が姑を手伝い働く意味がわかりません。もちろん頼まれたり、親族などが集まるときは動きますけど。(高知市、47歳女性)

■私はなんでも自分でやってみたい気があり、なぜ?という気持ちで深く追及してきました。でも、今思えば(若い女の子がわきまえろ、年上に向かって)と言う態度でした。そのせいか嫌われていた気がします。おべっか言う人は人気がありました。高知県の男性よ、女が下だと思ったら大間違いだぞ。(高知市、74歳女性)

■職場、友人、家族、取引先など場面、場面でわきまえ方があるが、基本は人権(相手)を尊重し発言し行動するよう心掛けている。(高知市、77歳男性)

■「わきまえる」が森さんのせいで時代錯誤で性差別の言葉のような印象になってきたみたい。でもみんな知らず知らずにわきまえてますよね。「今これを言ったら場が白けるのでは?」とか、「みんなの前で言ったらこの人に恥をかかせやしないか」とか。人間関係がスムーズに運んでいけるように心遣いをすることも「わきまえる」じゃないかなと思います。(高知市、60歳女性、自営業)

今回紹介した意見の抜粋、要約版を近日中に紙面で紹介します。

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