2021.03.03 08:00

【みずほ銀行障害】なぜ失態が繰り返される

 失態も3度繰り返すと「またか」を通り越してあきれてしまう。
 みずほ銀行で2月28日、大規模なシステム障害が発生した。自行の現金自動預払機(ATM)約5千台のうち4千台超が停止して、全国的に出金などができなくなった。インターネットバンキングも一部取引で障害が発生した。
 ATM操作中で、挿入したまま戻らないキャッシュカードや通帳も5千件を超えた。1日午後には全面復旧したが、解消に丸1日以上を要してしまった。
 今回の障害は、定期預金のデータ更新がきっかけだった。1年以上取引がない口座の顧客データを不稼働のものとして登録し直す移行作業に、通常の月末処理が加わり、システムの処理能力の上限を超えた。
 不具合を感知したことで定期預金の取引が遮断され、さらにATM全体の取引を絞り込んだという。
 みずほ銀では、2002年4月の再編初日にシステム障害が発生し、約250万件の口座振替などで遅れや誤処理が起きている。
 2011年3月には東日本大震災の義援金の振り込みが集中したことで、給与など最大116万件の振り込みが遅延した。ともに金融庁から業務改善命令を受けた。頭取らの引責辞任にもつながっている。
 懸案だった新勘定系システムへの移行は2度の完成延期を経て、2019年7月に終えている。投資総額は4500億円に上る。しかし、巨費を投じたシステムと過去の教訓は今回も生かされなかった。藤原弘治頭取は、データ移行時の想定の甘さに起因すると謝罪した。その甘さがなぜ生まれたかを解明しなければ、体質は維持されかねない。
 システムの不具合はゼロにはできないという前提で、各行とも発生と影響を極力小さくするように警戒、対応しているという。みずほ銀で繰り返される失態に、危機対応能力への疑問符がぬぐえない。
 今回のトラブルでは、ATM障害の広がりを確認するのに時間がかかったことも、緊張感の乏しさを示しているように思える。
 カードなどが取り出せないために利用者は現場を離れられないなど、混乱が広がった。不正防止のため、取引中に問題が発生した場合はカードなどを返却しない仕組みという。それはもちろん大切だが、その後の対応にも配慮する必要がある。
 店頭で長時間待たされたり、困惑したりする様子が伝えられた。カードが出ることはなくても、カードを残して去る不安に思いが至らないようでは、顧客対応としてはあまりにお粗末だ。
 利用者や取引企業の信頼は大きく揺らいだ。それを回復するのは簡単ではない。
 金融システムに問題が起きると顧客にどれほど迷惑をかけるか、想像が及ばないとは思えない。全都道府県に支店を持つ唯一のメガバンクであり大きな影響力があることを認識して、「想定の甘さ」を排除した堅実な対応を重ねていくしかない。

カテゴリー: 社説

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