2021.03.01 08:37

ただ今修業中 建築板金工 小崎ターボさん(27)高知市

「きれいに役物が作れたらうれしい」と話す小崎ターボさん(高知市布師田)
「きれいに役物が作れたらうれしい」と話す小崎ターボさん(高知市布師田)
「ぴたっとはまる」技磨き
 工場にはロール状にぐるぐる巻かれた金属板が並ぶ。

 伸ばせば長さ20~30メートル、幅1メートルの「ガルバリウム鋼板」。厚さは0・4ミリ。軽量でさびにくく、耐久性があるのが特長だ。

 プレス機や裁断機、専用のはさみで切り、折り曲げる。最初は1枚の薄い鋼板が、屋根や壁板、雨どい、水切りなどの「役物」、配管や換気扇のカバーになり、建築現場へ運ばれる―。

 鋼板を自在に操る建築板金の世界に19歳で入った。「覚えることがいっぱいあって。面倒くさくて、怒られるし、最初は辞めちゃろうと何回も思った」

 仲間とバイクで走るのが楽しく、やんちゃだった10代。夜間高校を1年で辞め、先輩のいる土木会社や解体業者で働いたが、しんどくなって休むこともしばしば。

 娘が産まれるのを機に、親族に「まじめに働け」と入れられたのが今の高知建工舎(高知市布師田)だった。
 
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 請け負う仕事は主に一軒家の新築や改修。現場で採寸し、建物に1ミリのずれなく合うよう鋼板を加工、細工し、貼り合わせる。

 何より正確さが求められる職人仕事に、最初ははさみの使い方一つにも悪戦苦闘した。作った物が現場で合わず、急いで作業し直しに帰ることも。

 「『こう付けるき、じゃあこういう形に』って、まず頭の中でいろいろと形状を想像する。今も複雑な部分は難しくて苦労する」

 体力的に特にきついのが真夏の屋根の上。太陽の光を鋼板が照り返し、作業は「地獄の暑さ」だった。

 それでもさぼることなく毎日仕事に通った。「なんでやろ。集中してやるのが合っちょったがかも。怒られるの腹立つき、先輩を見返しちゃろうって」

 高知県板金工業組合の理事長も務める沖野東陽(はるひ)社長(62)は「根はまじめで上達も早い。どんどん覚えてもらわんと」と期待する。

 東日本大震災以降、建築板金の需要は高まっており、古い家屋の瓦などを鋼板に換えて軽量化する耐震化改修や新築依頼が増えている。一方、県板金組合の訓練学校が5年ほど前に休校するなど、業界は若手不足で後進の育成が課題になっている。

 寺社の建築装飾など高度な技術も求められる板金業界では毎年、各県代表が技を競う全国大会も開かれる。「いずれはターボが代表選手に」というのが沖野社長の願いだ。
 
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 家の新築現場にパスン、パスン、とくぎで鋼板を打ち付ける音が響く。

 「作った物がぴたっときれいにはまった時はやっぱりうれしい。工場より現場が好き」

 入社9年目の今年は、1級建築板金技能士の国家資格にも挑戦予定。複雑な建材の展開図を書く能力などが必要で、「ほんまに大変なのはこれから」(沖野社長)という。

 1人でも現場に出るようになったが、「先輩らとわいわいしながら仕事するのが楽しい」と話す。

好きな言葉
好きな言葉
 「いろんな家に対応できるよう、何でもできるようになりたい。完成した家を見た時は『ああ自分らがやったがや』って、達成感がある」

 仕事を終え、小学生になった娘と触れ合うのが一日の楽しみだ。

 写真・山下正晃
 文 ・福田一昂

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