2021.02.27 08:39

つながる道、広がる可能性 高知南国道路2/27全通

高知市五台山の上空から北に向かって撮影した高知南国道路。写真奥に見える高知自動車道路とつながったことで、移動時間の短縮、防災機能の強化などが図られた(昨年12月8日、佐藤邦昭撮影)
高知市五台山の上空から北に向かって撮影した高知南国道路。写真奥に見える高知自動車道路とつながったことで、移動時間の短縮、防災機能の強化などが図られた(昨年12月8日、佐藤邦昭撮影)
高知道―新港―空港 東西交通の時間短縮
 高知市高須の市街地。地面から見上げてみると、空を走るようにハイウエーが架かる。真っすぐ延びるその先には、五台山、南国市の田園、高知龍馬空港があり、さらに向こうには、高速道路で広がる地域の可能性がある―。

高知市街地に最も近接することになる高知中央ICを、西向けに望む。高知市民にとって高知南国道路へのアクセスが改善した(高知市高須砂地=佐藤邦昭撮影)
高知市街地に最も近接することになる高知中央ICを、西向けに望む。高知市民にとって高知南国道路へのアクセスが改善した(高知市高須砂地=佐藤邦昭撮影)
 きょう27日、高知東部自動車道・高知南国道路(15キロ)の高知ジャンクション(JCT、高知市一宮)―高知南インターチェンジ(IC、高知市五台山)間の6・2キロが開通する。これにより、1990年度に事業化が決まってから約30年を経て、高知南国道路が全通する。

 今回の開通区間は、26本の橋りょうと新五台山トンネル(約700メートル)で構成。上下3層の道が立体交差する造形美や、県道と高架橋との2層構造は、高知の道の進化も感じる光景だ。

 高知市高須に新たに造られた高知中央ICは、大津バイパス、県道高知北環状線からアクセスでき、利便性が大幅に向上。周辺の南国バイパスなどで発生していた渋滞の緩和も見込まれている。

【3層構造】上下3層構造の立体交差が美しい高知南ICを、南西向けに望む。ICの南約1キロに高知医療センター、その先には高知新港がある(高知市五台山付近)
【3層構造】上下3層構造の立体交差が美しい高知南ICを、南西向けに望む。ICの南約1キロに高知医療センター、その先には高知新港がある(高知市五台山付近)
 高知南国道路が全通したことで、空の玄関である高知空港、海の玄関である高知新港、陸の玄関である高知自動車道が一つの道路で連結。東西交通の時間短縮で人の往来が活発になり、観光産業などの後押しとなる。

 高架橋は高さ10~14メートルで、南海トラフ地震発生時には、津波浸水の影響を受けずに車の通行が可能になる。緊急時や救急搬送など、人命をつなぐ「命の道」としても期待されている。

 高速道路整備で遅れをとってきた県東部が繰り広げた誘致運動。ルート沿線の反対の声。地方道路を巡る「無駄論」と、地元に衝撃を与えた事業凍結…。さまざまな道のりと曲折を経て、先人、県民の「東へ」の思いが実現した。

 次は、「さらに東へ」。そのためには、ハイウエイが切り開く地域の未来をアピールし続けていくことが欠かせない。

快適 ストレート 市街地や山 駆け抜ける
【北へ】高知市高須付近から北を望む。マンションや商業施設が立ち並ぶ中、高架道路が真っすぐ抜ける。市街地を高速道路が通る県内初のケースともいえる
【北へ】高知市高須付近から北を望む。マンションや商業施設が立ち並ぶ中、高架道路が真っすぐ抜ける。市街地を高速道路が通る県内初のケースともいえる
 新たに開通した高知東部自動車道・高知南国道路の高知ジャンクション(JCT)―高知南インターチェンジ(IC、6・2キロ)。高知市の市街地から霊山・五台山を抜ける“空の道”は眺望に優れたドライブコースでもある。

 高知市街地から東に向かう場合は、県道高知北環状線経由で真新しい高知中央ICへ。大きな弧を描くカーブを登ると視界が開けてくる。

 本線に入ると、前方の五台山に向かって延びる約2キロのストレートが快適。道路右前方には、高知市文化プラザ「かるぽーと」や鏡川大橋がうっすら目に入り、おまちとの近さが実感できる。

 舟入川を越えると、道路の左右には規則正しく区画された高須地区のマンション、住宅が並び、その奥には田園が広がる。秋から冬にはピンクや白のコスモスが彩る。

 室町時代の禅僧・絶海中津が修行に明け暮れた絶海池の上部辺りに差し掛かると、真新しい新五台山トンネル(約700メートル)が視界に入る。トンネルを抜ければ、下田川沿いの水田を横目に高知南ICへ。

 今回の開通で、高知自動車道・高知ICから高知龍馬空港までの所要時間は7~9分短縮され、運転のストレスも軽くなる。県民の長年の要望が一つ、実現した。

行き先ごとに入り口は別
 高知中央ICから高速道路に車で進入する際、高知自動車道方面に向かうか、高知龍馬空港方面に向かうかで入り口が異なる〈図参照〉。

【ご注意を】高知中央ICの出口と無料区間の終わりを示す案内標識。ここで降りなければ、この先の高知自動車道・高知ICでは降りられないので、ご注意を(高知市高須砂地)
【ご注意を】高知中央ICの出口と無料区間の終わりを示す案内標識。ここで降りなければ、この先の高知自動車道・高知ICでは降りられないので、ご注意を(高知市高須砂地)
 大津バイパスから進入した場合は、高知道方面へ。この場合は高知道・高知ICで降りることができない構造になっており、より注意が必要だ(高知IC入り口で救済措置あり)。高知空港に向かう場合は、県道高知北環状線から進入する。

 出口も、高知道方面から来た車は県道高知北環状線へ、空港方面から来た車は大津バイパスへ誘導される。

高速道路 さらに東へ 用地買収や掘削進む

 高知南国道路(高知市一宮―高知龍馬空港、15キロ)が全て開通し、県民の期待は「さらに東へ」と膨らむ。

【延伸を】高知市と安芸市をつなぐ高知東部自動車道の整備はまだ道半ば。道は、思いは、さらに東に延びる(高知市五台山)
【延伸を】高知市と安芸市をつなぐ高知東部自動車道の整備はまだ道半ば。道は、思いは、さらに東に延びる(高知市五台山)
【ドミノ?】安芸市赤野の農地を抜けて、ドミノのように並ぶ高架道路の橋台と橋脚。芸西西IC以東の未開通区間でも、事業の進捗が見え始めてきた
【ドミノ?】安芸市赤野の農地を抜けて、ドミノのように並ぶ高架道路の橋台と橋脚。芸西西IC以東の未開通区間でも、事業の進捗が見え始めてきた
 当面の焦点になるのは、開通区間に挟まれた格好になっている高知空港IC―香南のいちIC(3・5キロ)。ここが開通すれば、高知自動車道から芸西西ICまで一本の道でつながることになる。

 国土交通省土佐国道事務所によると、用地買収は終了。物部川に高さ10メートルを超える橋脚がお目見えするなど、道路の姿が見えつつある。開通年度は未定だが、次の開通はこの区間となる見通しだ。

【早く!】高知龍馬空港ICから香南のいちICまでは未開通。この区間が東西の開通区間と連結すれば利便性が一気に高まる。「早く!」との願いを受け、物部川での橋脚整備などが進む(南国市物部)
【早く!】高知龍馬空港ICから香南のいちICまでは未開通。この区間が東西の開通区間と連結すれば利便性が一気に高まる。「早く!」との願いを受け、物部川での橋脚整備などが進む(南国市物部)
 南国安芸道路(空港IC―安芸西IC、21キロ)の東端区間となる芸西西IC―安芸西IC(8・5キロ)では、用地買収が終わった場所から工事が行われ、安芸市赤野などで道路の片りんを見ることができる。安芸西ICが建設される同市穴内付近でも山の掘削が進んでいる。

【橋台造り】重量のある橋台は、設置現場の近くで造る。複雑に密集する鉄骨の中にコンクリートを流し込んで製造する(香南市野市町西野)
【橋台造り】重量のある橋台は、設置現場の近くで造る。複雑に密集する鉄骨の中にコンクリートを流し込んで製造する(香南市野市町西野)
 安芸西IC以東の阿南安芸自動車道では、北川道路(安芸郡北川村柏木―安倉(あぐら)、約13キロ)のうち柏木―和田間(4キロ)の中の3・4キロ区間が23年度に開通する予定。20年度には、安芸郡東洋町と北川村を結ぶ野根安倉道路(8・5キロ)が新たに事業化されたが、未事業化区間の動向を含めて、進捗(しんちょく)スケジュールは不透明な部分も多い。(板垣篤志)

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