2021.02.22 08:41

フォっトけないす 帰還に「感動」 レース鳩飼育(安芸市)

レース鳩約150羽を飼育する鳩舎。町中の鳩よりガッチリしている(写真はいずれも安芸市赤野甲)
レース鳩約150羽を飼育する鳩舎。町中の鳩よりガッチリしている(写真はいずれも安芸市赤野甲)
優勝トロフィーに囲まれる野町章さん
優勝トロフィーに囲まれる野町章さん
 鳩(はと)の飾りが付いた大小さまざまなトロフィーが部屋にずらり並んでいる。「何本あるろう。よう数えてないねえ」。高知県安芸市赤野甲の農家、野町章さん(66)が笑う。全て趣味の鳩レースで優勝して獲得したものだ。

 鳩を遠隔地に集めて一斉に放し、鳩舎(きゅうしゃ)に戻る速さを競うレース。放鳥した場所から各愛好家の鳩舎までの距離を正確に測り、帰還に要した時間で割ったスピード(分速)で勝敗が決まる。

 野町さんの鳩舎では現在約150羽を飼育している。公園で餌をついばむ鳩とは違いガッチリとしており、どこかりりしい。「羽の付け根の筋肉が発達した鳩が速い。弾力があって盛り上がっちゅう」

 飼いだしたのは中学生のころで、次第にレースの世界に引き込まれた。飼育した中には北海道長万部(おしゃまんべ)から1200キロ、韓国釜山から500キロを飛んで帰ってきた〝猛者〟もいる。

 速い鳩を掛け合わせるのもレースの醍醐味(だいごみ)で、思わぬ値段が付いたことも。「120万円で売ってくれという人もおった。思い入れのある鳩やったき、なんぼ出されても売らんと断った」

 手塩にかけて育てても、二度と帰ってこないことも珍しくない。天敵はタカなどの猛禽(もうきん)類。朝、運動のために鳩を放つが、目の前でハヤブサに襲われたこともある。

 だから、過酷なレースを飛び通して帰ってきたときは格別。「感動で涙出るもん。よう帰ってきたなあ、と思う。こんまいやつが海越え山越え…。えらいなあ」

鳩の足に着けるICチップ付きのリング。鳩の帰還が自動計測される
鳩の足に着けるICチップ付きのリング。鳩の帰還が自動計測される
 鳩舎の前で5時間待ったこともある。現在はICチップ付きの足輪で、到着は自動計測される。それでも「今もやっぱり待ちゆうね。見たいもん」と空を見上げ、かわいいレーサーの姿を探す。

 ピーク時に県内に約200人ほどいた鳩レース愛好家も、現在は25人ほどに減ったそう。「年取って飼えんなってやめる人も多い。お金もかかるし、女房にもあきれられちゅうけど、ぼくはやめんで。一生の趣味やね」。いとおしげに鳩たちを眺めた。(安芸支局・森部智成)

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