2021.02.20 08:43

香美市美術館で「みづゑの魅力」展 心にしみ入る水彩画、県内外26人の84点

浜田勝一郎「岡豊山」
浜田勝一郎「岡豊山」
 親しみがわきスーッと心に入ってくる水彩画。そんな作品を集めた「みづゑの魅力」展が、高知県香美市土佐山田町の同市美術館で開かれている。県内外の作家26人の84点を展示。3月21日まで。

 今回は、現代の多様な絵画表現の原点とも言える水彩画に注目。同館の収蔵品に加え、子孫が所蔵している約100年前の大正期に描いた高知市生まれの画家、浜田勝一郎の作品10点。そして中土佐町立美術館収蔵の作品も加え展示している。

 浜田は明治期を代表する水彩画家の大下藤次郎から指導を受ける。自然と対話しながら写生に徹するやり方で、現地で仕上げる主義だったという。「土佐国伊野、仁淀川船着場付近」は水上輸送が主流だった頃のいの町。岸にはたくさんの荷物が置かれ、水辺では子どもたちが遊んでいる。当時の暮らしが目に浮かぶ。「岡豊山」は、優しい光に包まれた山里の風景。ゆったりとした時間の流れに心が和む。

藤井勉「春まだき」
藤井勉「春まだき」
 秋田に生まれ、岩手で暮らした藤井勉の9点の作品からは、浜田とは正反対の印象を受ける。浜田の絵が温かい光に包まれているとしたら、藤井の絵は冷たい空気感と厳しい自然を感じる。「春まだき」は写実的で写真のような描写だが降り注ぐ光は遠く、厳しさに耐えるエネルギーを感じる。「牧場への道」も、一見柔らかそうな新緑の木だが強さが秘められていて、東北の人の心を表現しているかのよう。

片木太郎「青の風景」
片木太郎「青の風景」
 西岡瑞穂の「秋果図」は水彩画とは思えないどっしりとしたボリューム感がある。浜口富治の「浦戸湾セメント工場」。大型船が止まる工場の前の海では漁師が網を上げていて生活感が伝わってくる。片木太郎の「青の風景」は、水の動きを水面のきらめきとして表現。青に統一された世界は詩的な情景を生みだしている。

 和田通博の「雨上がり」は、シャープで透明感がある作品で、現実のようで非現実な世界を表現。西村洋一の「空へ」は、大木を見上げる。そこには紅葉した葉裏が美しく輝いている。このほか小磯良平、安井曽太郎、石川寅治などの作品も展示している。

 都築房子館長は「水彩画は非常に庶民的でなじみやすいので気軽に見て楽しんでもらいたい」と話している。

 展示室には同館が出前授業で指導した香美市内7小学校の4年生が描いた水彩画も展示されている。(池添正)

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