2021.02.09 08:39

雑誌「ナンバー」好調 宇賀編集長(高知市出身)光る企画力

「面白い切り口を考えることが好きですね」と話す宇賀康之編集長(東京都千代田区の文芸春秋)
「面白い切り口を考えることが好きですね」と話す宇賀康之編集長(東京都千代田区の文芸春秋)
将棋特集で異例の20万部完売
 文芸春秋が発行するスポーツ総合雑誌「ナンバー」の売れ行きが好調だ。高知市出身の編集長、宇賀康之さん(49)を先頭に、藤井聡太二冠を表紙に将棋を取り上げて20万部を完売するなど、新型コロナウイルス下でも企画力の光る特集で読者を引きつけている。

 ナンバーは1980年に創刊。野球やサッカーをはじめ、スポーツ全般をテーマにしてきたが、2020年9月には初めて将棋を特集した。藤井二冠の実像に迫った号は注文が殺到し、通常の3倍近くの20万部を売り切った。

 宇賀さんは2018年7月、雑誌ナンバーの編集長に就任した。将棋の特集について「若い天才棋士が現れた将棋をスポーツとして捉え、棋士をアスリートとして描けば面白いものができそうだと考えた」という。

 心掛けているのは、「人間に対する興味や勝負の裏側にあるものを深掘りする」というナンバーの基本スタンス。

 「完売できたのは将棋マニアではない人も楽しめる特集になったからでは? でも、これほど売れるとはびっくりでした」

 このほか、米大リーグでイチローが日米通算4千安打を記録した際は、4千本分のヒット数にちなんだエピソードを掲載するなど、絶えず「切り口」を大切にした企画を手掛けてきた。

 コロナ禍で東京オリンピック・パラリンピックが延期された2020年は、プロスポーツ界でも試合の延期や中止が相次いだ。雑誌編集も影響を受け、「知恵が試された1年だった」という。

 緊急事態宣言の発令直後の昨年4月に迎えた創刊40周年の記念号では、「希望の1ゴール」とのタイトルで日本サッカー史の節目のゴールを取り上げた。「希望が見えない時だからこそ、読んだ人が希望を持てるように」との思いを込めた。

 敏腕編集長の原風景は、小学生の頃に母親に連れられて見たプロ野球の高知キャンプ。「華やかさと面白さ。プロ野球の独特の空気感を味わったことが原点になった気がする」と笑う。「これからも読者の期待とアスリートの信頼感の双方を大事にして、面白いものを出していきたい」(五十嵐隆浩)

 うか・やすゆき 1971年、高知市生まれ。土佐中高、早稲田大学政経学部卒。1995年4月、文芸春秋入社。「週刊文春」編集部、「ナンバー」編集部などを経て、2018年7月からナンバー編集長に。

カテゴリー: 高知のニュースひと・人物

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