2021.02.08 08:00

【パートナー制度】性的少数者の権利守ろう

 高知市が今月から「パートナーシップ登録制度」の運用を始めた。申請した同性カップルらを男女の夫婦と同等の関係と認める。
 全国の自治体に広がりつつある仕組みで、高知市の導入は国内で75番目、県内では初めてである。
 多様な性のあり方を認め、性的少数者の権利を守る。県内でもその流れが生まれ、施策の第一歩が踏み出されたことを評価したい。
 性的少数者とは、同性愛者のゲイやレズビアン、出生時の性別と自認する性別が異なるトランスジェンダーらの総称である。
 多くの場合は思春期の頃に気付くものとされる。趣味や嗜好(しこう)の問題ではなく、当然ながら治療の対象でもない。
 電通の全国調査では、性的少数者に該当する人は約9%に上っている。ただし、そのうち約65%が「誰にも打ち明けていない」とも答えている。差別や偏見を恐れて「ありのままの自分」を周りに伏せている性的少数者は多い。社会が理解を進めることで、彼らの生きづらさを解消しなければならない。
 パートナー制度は2015年の東京都渋谷区などを皮切りに広がった。都道府県レベルでは茨城県、大阪府、群馬県が導入している。
 高知市では、当事者らのNPOが要望し、署名活動も展開して実現した。高知市は昨年11月に「にじいろのまち宣言」を行い、多様な性のあり方を尊重する自治体であることを対外的に示してもいる。
 具体的には、登録カップルは市が行う公共サービスで夫婦と同じ扱いが受けられる。市営住宅の入居時に親族と認めるなどだ。利点は限定的だが、当事者は公的に自分たちの存在が認められた意義を感じている。
 登録第1号の女性カップルは「これまで『見えない存在』として暮らしてきた。少しずつ理解されるようになってうれしい」と話している。
 「家族」として共に生きている同性カップルも、その絆は男女の夫婦と変わらないはずだ。しかし、自分たちの関係がなかなか認められない社会の状況に苦しんでいる。
 欧州を中心に同性間の法律婚を認める国や地域が増えている。菅義偉首相は「家族のあり方の根幹に関する問題」と慎重な姿勢だが、日本でも国政レベルで議論を始める時期に来ているのではないか。
 日本の同性カップルは法律婚ができず、相続などで不利益を被っている。その現状に目を向け、人権の問題として取り組む必要がある。
 併せて、性的少数者への差別や偏見をなくさなければならない。
 どのような性別の人を好きになるか。自分の性をどう認識しているか。そうした「性的指向」や「性自認」を本人の同意なく暴露する「アウティング」が問題になっている。
 暴露された人が命を絶つケースもある。三重県のように禁止する条例の制定を目指す自治体も出てきた。
 性的指向や性自認は、その人の尊厳に直結している。からかいや嘲笑を許さない意識改革が急がれる。

カテゴリー: 社説

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