2021.02.01 08:40

高知市「放流同意金」黙認 違法慣習 土地改良区が住民から徴収

土地改良区が管理する高知市の農業用水路。浄化槽の処理水が流れ込むことを認める見返りとして、放流同意金が徴収されてきた(高知市五台山)
土地改良区が管理する高知市の農業用水路。浄化槽の処理水が流れ込むことを認める見返りとして、放流同意金が徴収されてきた(高知市五台山)
水路利用名目で
 高知市東部の農業用水路を管理する農業団体・土地改良区が、地域に自宅を建築した住民から、法的な支払い義務がないのに、浄化槽の処理水を水路に流すための「放流同意金」を長年徴収していたことが高知新聞の取材で分かった。工事関係者の間では放流同意が建築の条件として扱われ、高知市も黙認することで「違法な慣習」が横行していた。2002~03年だけで改良区7団体が計573万円を徴収したとの市の記録があり、徴収は今も続いているという。

 放流同意は、公共下水道が整備されていない地域で、自治体が建築を認める「建築確認」の前に、地元の農業団体などから浄化槽設置の同意を得るよう義務付ける全国的な慣習。浄化槽の性能向上で処理水の水質が改善したことから、国は1988年以降、「放流同意は違法」として全国の自治体に解消を求めてきた。

 高知新聞が情報公開請求で入手した高知市の内部文書によると、2002~03年に市東部の改良区7団体が計93件、573万円の放流同意金を徴収したと記録されている。

 現地取材でも、2012~15年に自宅を建築した高知市大津地区の3世帯で放流同意を確認した。いずれも浄化槽業者が設置申請の際に、施主に知らせないまま地元の改良区との「協議書」を作成。改良区に押印してもらう見返りに同意金を支払い、施主に2万~7万円を負担させていた。業者らは「改良区に同意金を払わなければ、市が建築確認を下ろさない」と話している。

 高知市は浄化槽について定めた要綱で施主側に改良区との協議を義務付け、放流同意を長年黙認してきたが、最高裁が2019年7月、徳島県内の放流同意について、金銭徴収は強制できないと判断。高知市はこれを踏まえ、2020年4月に要綱から協議義務を削除した。ただ、浄化槽業者には「改良区との協議が必要」とする文書を配布し、放流同意を存続する余地を残した。

 17改良区で組織する高知市土地改良区連合会によると、市東部の11改良区が放流同意を実施。2020年4月以降にも支払いを受けた例があるという。大野哲会長は「浄化槽の放流水が農業用水に悪影響を与え、水路清掃が農家の負担になっている。お金は清掃に使わせてもらう趣旨で、強制していない」と主張している。

 高知市は放流同意を放置してきた責任を認めておらず、浄化槽を所管する市環境保全課の野田裕張課長は「同意書を持って来いという話は一回もしたことがない。お金を取る、取らないは市の話ではない」としている。(芝野祐輔、深田恵衣)
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