2021.01.27 08:41

フォっトけないす 山あいに響くエンジン音 玖木オートランド(四万十市)

エンジン音を響かせて疾走するレーシングカート(写真はいずれも四万十市の「玖木オートランド」)
エンジン音を響かせて疾走するレーシングカート(写真はいずれも四万十市の「玖木オートランド」)
 ギュイイイン! 高知県四万十市西土佐玖木(くき)の静かな山道を入った先に、レーシングカートが疾走している。踏み込んだアクセルの荒い鼻息、金属が熱せられる臭い、カーブでこすれるタイヤの悲鳴―。「玖木オートランド」にはモータースポーツを愛する人が集う。

 林業を営む藤倉弘章さん(84)が25年ほど前、自宅近くの山に造ったコースは1周約800メートル。S字やヘアピンカーブ、直線などが織り交ぜられた本格仕様で、かつてレーサーを夢見て鍛錬を積んだという藤倉さんが、さめやらぬモータースポーツへの情熱を具現化した場所だ。

コーナリングでタイムが変わる。観客の視線も熱い
コーナリングでタイムが変わる。観客の視線も熱い
 100㏄のエンジンを積んだカートは最高時速90キロほど。路面すれすれの低いシートで、体感速度は数倍にも感じられるそう。予約があれば、1日3千円で週末にコースを開放。趣味で楽しむ愛好家からレースに出場する選手まで、さまざまな人々が県内外から訪れる。

 開設当初から利用する理容店主、浜田富士男さん(65)=高岡郡四万十町七里甲=は「練習してだんだん速うなるのが楽しい」。昨年10月に始めた四万十市佐田の宮崎等さん(72)は「あこがれのF1に乗っているよう。普通の車じゃこうはいかん」とはしゃぎ顔。

 「走ったら一番速い」と周囲に評される藤倉さんにテクニックを学ぶ人や、マシンの整備方法を相談する人も。最近始めたという四万十市佐田の福地栄信さん(41)は「パワーが出なくて…」と困り顔。藤倉さんが車体をいじり始めると、ドライバーたちがわらわら集まり、あーでもないこーでもないと、マシン談議に花が咲いた。

マシンの整備は各自で行う
マシンの整備は各自で行う
 かつては40~50台がひしめき合ったが、今は10台ほど。「モータースポーツ自体、人気がないなったからねえ」と寂しそうな藤倉さん。「子どもたちが楽しんでくれたらうれしいけど」と話す。

 「藤倉さんがここをやめる時は、俺がカートをやめる時。まだまだ乗りたい」と常連客。「いつか大会に挑戦したい」と目標を語る新人もいる。山あいに響くエンジン音は、消えそうにない。(幡多支社・平野愛弓)

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