2021.01.16 08:35

いの町紙の博物館で企画展「源太から始まる近代和紙の系譜」

ガリ版印刷機などが並ぶ企画展会場(写真はいずれもいの町の紙の博物館)
ガリ版印刷機などが並ぶ企画展会場(写真はいずれもいの町の紙の博物館)
土佐和紙、近代の系譜...海外に注目されるまで 薄く丈夫に 吉井源太改良
 企画展「源太から始まる近代和紙の系譜」が、高知県吾川郡いの町の紙の博物館で開かれている。いの町の製紙家・吉井源太(1826~1908年)が発明した新しい和紙が明治時代以降に普及していく過程を、豊富な史料から追っている。3月31日まで。

 企画展は、紙の博物館の開館35周年を記念して開催。吉井が開発した薄くて丈夫な土佐和紙が、近代に「複写用紙」として海外で注目され、製品化される過程を約60点の史料から紹介する。

典具帖紙(手前)など複写用紙として製品化された和紙
典具帖紙(手前)など複写用紙として製品化された和紙
 土佐藩の御用紙すきの家に生まれた吉井は、幕末に道具を大型に改良して紙の量産化を実現。典具帖紙(てんぐじょうし)やコッピー紙、図写紙など28種類の紙を改良・開発して全国で技術指導に努め、高知県の紙産業の礎を築いた。

開発した紙の特徴を記した明治27年の吉井源太の日記
開発した紙の特徴を記した明治27年の吉井源太の日記
 会場には、品評会に出品する紙の特徴を記した吉井の日記や、東京の丸善(現丸善雄松堂)に吉井が送ったコッピー紙など明治時代の史料が並ぶ。特に、明治初期に吉井が開発した雁皮(がんぴ)を材料としたコッピー紙は輸出用として注目され、後に謄写版(ガリ版)用紙に改良して同町の紙産業を支える製品となっていった。

 また、ガリ版刷りに使われた鉄筆や印刷機、ガリ版刷りの愛好家らが1976年に始めた「土佐鉄筆会」の会員が手掛けた県内の印刷物も展示。会期中の土日には、ガリ版刷りの体験会を実施している。

 田辺翔学芸員は「吉井が開発した紙のその後を、紙産業の歴史とともに知ってほしい」と呼び掛けている。(楠瀬慶太)

■2/6講演会
 企画展の監修を務めた香川大学の村上弥生・特命講師による記念講演会「近代和紙の創出と吉井源太の貢献」が2月6日午後1時半から、同館で開かれる。

 参加無料だが入館料が必要。問い合わせは、紙の博物館(088・893・0886)へ。

ページトップへ