2020.12.22 08:39

高知県の市町村で女性管理職19.6% 政府目標30%以上5町村

2016年比6ポイント増 福祉系など偏在 社会に残る偏見も悩み
 高知県内34市町村の管理職(課長級以上)に占める女性の割合がじわり上昇している。11月の高知新聞調査では平均19・6%(646人中127人)と、女性活躍推進法が施行された2016年4月の13・6%(614人中84人)から6ポイント増。ただ政府が当面の目標とする30%以上だったのは5町村にとどまる。

 女性管理職の割合が最も高いのは土佐郡大川村の60%で、安芸郡馬路村50%、高岡郡日高村44・4%が続いた。一方で4町村は10%に満たず、吾川郡仁淀川町と安芸郡芸西村は女性管理職ゼロとなっている。

 小規模自治体では課長級ポストが少ないため、1、2人の登用で大幅に割合が高まったり、逆に下がったりするケースがある。また自治体によって課長級ポストの職種は違い、従来女性が多い保育・幼稚園長を含むかどうかなどによっても比率が左右される。

 それでも全体では2016年と比べ24市町村で女性管理職の割合が伸び、低下は7市町、横ばいは3町村だった。

 管理職5人のうち3人が女性となった大川村の担当者は「小さな村では男女関係なくいろんな職種を経験せざるを得ず、どの部署でもそれ相応に担当できる力がある。女性登用に自然な流れができている」と話す。

 高知新聞のアンケートに対し、女性管理職が5人から7人に増えた香南市は「推進法の趣旨にのっとり積極的に登用した」。ゼロから3人となった梼原町は「管理職にふさわしい資質、経験のある女性職員が増加した」と理由を挙げた。

 一方、2人減の南国市は「キャリア形成の教育・研修が十分でなかった」と回答。2016年から変わらず0人の芸西村は「現在は管理職適齢期の女性職員がいない。世代が変われば増えるはず」と今後に期待をかける。

 ほとんどの市町村は女性管理職の増加を肯定的に受け止め、「協議の場で男性ばかりより多様な意見があり、意思決定の幅が広がる」(土佐清水市)、「女性職員が相談しやすい職場づくりができる」(須崎市)などの利点を強調した。

 ジェンダー論に詳しい高知大学の森田美佐教授は、女性活躍推進法が自治体にとって一つの契機となったのに加え、「管理職に就くことを自身のキャリアと考え、能力もある女性が増えたのだろう」と分析する。さらなる女性登用への課題を探った。

自治体で活躍する女性管理職と首長のコラージュ。左から時計回りに馬路村の高橋弘江総務課長、安芸市の山崎冨貴商工観光水産課長、いの町の池田牧子町長(岡崎紗和作成)
女性管理職「長期的育成を」
 高知県内の市町村役場でも着実に増えている女性管理職。ただ、「指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との政府目標にはまだ及ばない自治体がほとんどだ。女性管理職が活躍する職場は福祉系などに偏っているのも現状で、当人や首長らは、後進の長期的な育成やサポートの重要性を強調する。

■「男に代われ」
 「管理職になった私がたまたま女性だっただけ」。安芸市商工観光水産課の山崎冨貴課長は淡々と話す。現職の前は市民課長、議会事務局長も歴任。「『女性だから』と登用するのは無理がある。職員時代からいろいろな仕事をさせ、長期的な視点で育成することが大事」と強調する。

 言葉にはキャリアへの自負もにじむが、一方で「部署の長として対応しているのに『男の職員に代われ』と言われることもある」と明かす。社会に残る偏見に悩まされる女性管理職は多そうだ。

 安芸市の横山幾夫市長は女性管理職の登用について「当然、今後いろいろな部署で進む」とする。しかし「土木など女性技術職がそもそも少ない部署は難しい。危機管理課も災害時に危険な場所に行くし、泊まり込みが必要。(女性職員は)やはり心配が先に立って…」と悩ましげだ。

■総務課長は1人
 高知新聞の調査結果でも、女性管理職がいる部署の偏りは顕著。福祉や教育分野の課長、会計管理者などのポストが多く、一般職員の“司令塔”とされる総務課長が女性なのは安芸郡馬路村のみだった。

 その高橋弘江総務課長は10月に就任したばかり。「初めは『えっ、どうしよう』と思ったが、今は楽しんでいる。財政など不得意な分野もあるが、課員やほかの課長が助けてくれる」と、周囲のサポートや「職場の雰囲気」の重要性を強調する。

 「管理職は男性という固定観念は変わりつつある。総務課長も私がうまくやれたら、今後の女性登用につながる」と、後輩の模範として気を引き締める。

■家庭事情ネック
 県内唯一の女性首長、吾川郡いの町の池田牧子町長は「職員の男女比が同じぐらいなのに、管理職が男性に偏るのはおかしい。(2016年の)就任以来、明確な意志を持って女性管理職を登用してきた」と語る。

 結果、いの町の女性管理職の割合は年々増加し、2019年度は35%に達した。ところが、想定外の早期退職などにより2020年度は24%に後退している。

 池田町長は「親の介護などが必要になる世代。どうしても家庭内で女性の力が求められる傾向がある。社会全体の意識の変化も必要」と強調。その上で「女性職員は重ねた実績に自信と誇りを持って突き進んでもらいたい」とエールを送る。

 高知大学の森田美佐教授(生活経営学)は「少子高齢化で働き手が減っている。性別で個性や能力を限定的に捉え、活躍の機会を狭めてはいけない。社会全体で改善点を議論する時期だ」と話している。(安芸支局・森部智成)

カテゴリー: 高知のニュース行政

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