2020.11.15 08:43

サッカーJFL 高知U連勝し最下位脱出 赤星2発でFC大阪に完勝

【FC大阪―高知U】後半32分、高知U・赤星=右から2人目=がこの日2ゴール目を挙げて2―0とリードを広げる(大阪府服部緑地陸上競技場)
 サッカーJFLは14日、大阪府服部緑地陸上競技場などで第28節3試合を行い、高知ユナイテッドSCはFC大阪を2―0で下して初の連勝を果たした。15位のラインメール青森が敗れたため勝ち点12で並び、得失点差で上回って9月6日以来9試合ぶりに最下位を脱出。暫定14位に浮上した。

 高知Uは前半16分、ゴール前の混戦のこぼれ球をCF赤星がダイレクトで蹴り込んで先制。さらに後半32分には、FW西村のスルーパスに抜け出した赤星が冷静に決めて2点目を挙げた。赤星は通算5ゴールとなり、得点ランキング暫定5位に食い込んだ。

 高知Uは22日13時から、春野陸上競技場でラインメール青森とのホーム最終戦(第29節)を戦う。


 【評】高知Uは、J昇格に向けて負けられない強豪に快勝。3連戦の過酷な日程の中、価値ある勝利を挙げた。

 高知Uは前半からFC大阪のハイプレスを逆手にとった。パス回しにこだわり過ぎず、ロングボールで相手のDFラインの裏を攻撃。16分の先制点は、CB下堂からのロングパスをCF赤星が頭で落とし、MF長尾がワンタッチで左ワイド田口へ。田口のクロスのこぼれ球を赤星がねじ込む狙い通りの形だった。

 1―0の後半は4・4・2でセットして守りつつも引き過ぎない。後半32分の2点目は、ハーフライン付近でボールを奪った右ワイド西村のスルーパスに、赤星が抜け出した。前節に続き、最後まで点を狙う姿勢が勝利を呼んだ。GK池上は好セーブ2本。2試合連続のクリーンシートに貢献した。

【西村昭宏監督の話】戦い方に自信
 西村昭宏監督の話 中2日の3連戦でハードだったが、その中で結果が出てきていたので、選手たちは疲れより「ちょっとやれるんじゃないか」という気持ちの方が強かった。戦い方にも自信が出てきた。残り2戦に勝って一つでも上の順位を目指す。

「前半無失点なら勝てる」
 「ふおぉぉぉぉ!」
 試合終了後、高知Uの控え室から聞こえる歓喜の雄叫びは、しばらくやまなかった。中2日の3戦目で、J入りが懸かる5位チームに快勝。ここ3週間でJFLは4戦3勝、公式戦は5戦4勝。「(去年、昇格を決めた)地域CLも11月だったんで。僕らこの時季が得意なんですかね。ほら、戻りガツオの季節だし」という副主将平田の珍説ですら説得力を帯びる強さ。リーグ最終盤。ここに来て、チームに脂が乗っている。

 JFLで2戦連続無失点の守備が好調を支えている。CB藤崎は勝てない期間、「JFLは1人ではとても守れない」と痛感した。だから「(今季初勝利の)ホンダ戦から、GK陣に『ボールに行け!』だけじゃなくて、『右から行け!』みたいに具体的に指示をしてもらうようにした」。ホンダ戦以来感じる守備の一体感は、緊密なコミュニケーションの上に成り立っていた。

 DF、GK陣が安定するから、MF、FWが思い切りのいいプレスに行ける。この日、豊富な運動量と驚異的な速さのスライド、寄せで守備に貢献した右ワイド西村は、「なんであのホンダに勝てたんやろうと。映像を見たら、『え?俺こんなに走れんの?』っていうぐらい走ってた。それ以来ハードワークはめちゃくちゃ意識してます」。四国リーグ時代は「ボールを持った時しか走らなかった」男が、今ではチーム一、二の12キロ超を走りきる。

 「ナブラのように一体になって前半を無失点でしのげば、勝てる」。ホンダ戦でチームが得た手応えは、早い時間に失点して敗れたT宮崎戦で「ある種の確信」となり、そして滋賀、大阪戦の連勝で「完全な確信」に変わった。藤崎は「1人で責任を負わずにみんなで守るというか。守備に関してはいい伝染をしていると思う」。過酷な日程を感じさせないアグレッシブな守備は、良い声掛けからくる適切なポジショニングが生み出していた。

 さあ、かつてない勢いを持ってホーム最終戦へ。選手の胸にあるのはもちろん「勝利」のみだ。いざ行け、戻りガツオ軍団!

赤星「満足したら終わり」
 未完の大器が覚醒だ。2得点のCF赤星。前節でも1ゴール。3日前の天皇杯3回戦では2アシスト。本人は「きょうはラッキーだっただけ」とクールかつ謙虚だが、この点取り屋が、チーム躍進の大きな原動力になっているのは間違いない。

 もともと前線からの守備とハイボールの競り合いには定評があった。この日も空中戦を制して何度も起点になった。DFからロングボールが出ると、日光を遮るように額へ手をかざして落下点を見極め、2、3歩大きく助走して跳ぶ。空中で一瞬止まったかのような滞空時間の長いジャンプ。一連の流れは優雅で、それだけで観客をわくわくさせる。

 加えて開花し始めた得点力。主将横竹は「もともといいモノを持ってたんですよ。僕らがようやく合わせられるようになっただけで」。口調は冗談めかしていたが、おそらく本心も多分に含まれている。

 そして、そんな赤星の何よりの魅力は「いや、まだまだ全然です」という野武士のごとくストイックなハートだ。「満足は絶対しません。満足したらそこで終わりだと思っているので」。今の覚醒は、ほんの始まり。(井上真一)

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