2020.10.15 08:40

コロナ下で酒依存が悪化 高知市の下司病院調査 自粛ストレス

アルコール依存症への新型コロナの影響について語る山本道也院長(高知市本町3丁目の下司病院)
アルコール依存症への新型コロナの影響について語る山本道也院長(高知市本町3丁目の下司病院)
 新型コロナウイルス感染拡大の影響でストレスを抱えた人にアルコール依存症のリスクが高まっているとする調査結果を、高知市の下司病院がまとめた。外出自粛などで依存症患者が飲酒してしまうケースは感染拡大前の5倍に増えており、山本道也院長(65)は「コロナの長期化で『予備軍』が依存症に移行する懸念が強まった」と警戒している。

 下司病院はアルコール依存症の専門病院。調査のきっかけは、今春以降、断酒を続けられずに飲酒する入院患者が激増したことだった。

 コロナ禍の前、各患者は外出や外泊ができる開放病棟(49床)で入院。グループミーティングなどの自助活動で断酒に励み、飲酒してしまう患者は月に3人ほどだった。

 ところが感染拡大を受け、患者の外出、外泊、面会を禁止した4月以降、スタッフの目が届きづらい夜間に病院を抜け出し、飲酒する人が相次いだ。4月に発覚した飲酒は12人18件、5月は15人30件まで増えた。

 「この病院に24年いるが、こんなことは初めてだった」と山本院長。6~7月には、外来も含めた患者313人を対象にストレスや飲酒欲求を尋ねるアンケートを行った。

 その結果、18%(55人)の患者が「飲酒欲求が強まった」と回答し、このうち96%が新型コロナによるストレスを感じていた。欲求が強まった患者の約半数は実際に飲酒していた。

 山本院長は「18%は少なく映るかもしれないが…」と前置きした上で、「隠れ依存」を含めた国内の依存症患者は100万人以上と推計される点を強調。「100万人の18%なら社会に与える影響は大きい」と指摘する。

 一方、飲酒欲求が強まらなかった患者のうち、コロナ下でストレスを感じていたのは53%にとどまり、コロナとストレス、飲酒の関連性がうかがえた。

 ストレスの内訳(複数回答)は、「人に会えない」が最多で全体の29・4%、「感染への不安」が25・6%、「外に出られない」が24・3%と続いた。

 特に、コロナ禍で失業したり、逆に業務量が増大したりと変化が起きた人と、1人暮らしの人にストレスを感じる割合が高かったという。

 山本院長は「一般家庭でも状況が悪化している可能性がある。ドメスティックバイオレンス(DV)は7割が飲酒絡みとされ、コロナ下でDVの相談件数が増えている」と懸念し、周囲の異変に気付いた人は県精神保健福祉センターや専門の医療機関に相談するよう呼び掛けている。(竹内悠理菜)

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カテゴリー: 社会新型コロナウイルス社会

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