2020.10.10 08:40

無一文から年商10億円に迫る大手企業に 大前田商店社長が自叙伝

「波瀾万丈ウエルカム。世の中が大変な時ほど、自分にとってはチャンス」と話す前田薫社長
「波瀾万丈ウエルカム。世の中が大変な時ほど、自分にとってはチャンス」と話す前田薫社長
紙産業の周辺を駆け抜ける
 無一文で古紙回収を始め、高知県内大手のリサイクル会社「大前田商店」(南国市岡豊町)を育てた前田薫社長(71)が、自叙伝「まいどお騒がせいたします―土佐、ちりがみ交換一代記―」(リーダーズノート出版)をこのほど出版した。浮き沈みの激しい紙産業の周辺を全力で駆け抜けた波瀾(はらん)万丈の人生を、素朴な土佐弁でつづっている。

 前田さんは旧香美郡土佐山田町の農家の長男に生まれた。中学を出ると、建設現場や自動車工場など20近くの職を転々と。28歳で古紙回収を始め、1990年に大前田商店を設立。現在は年商10億円に迫る企業となった。

 自叙伝は、人生の転機となった大失恋の話から。広島にいた27歳の時、結婚を誓った女性の父親に「お前とうちでは家の格式が違う」とののしられ、破局した。

 「今は一文無し。だけど今に見ておれ。自分の力で稼いでやる」と奮起。高知に戻り、昼は古紙回収、夜はリヤカーを引いて焼き芋を売り歩き、業績を伸ばしていった。

 自宅床に「1万円札をばらまいてのたうち回って喜んだ」かと思うと、また無一文に。1998年の高知豪雨での会社水没や、リーマンショック後の古紙価格の暴落など、次々と襲う受難を持ち前の才覚と行動力で乗り切る姿が活写されている。

 前田さんは「マイナスが大きいほど、プラスも大きくなる。ゼロからでも努力次第で道は開ける。そのお手本を残して死ねたら最高やね」と笑う。「今苦しい思いをしゆう人に『自分もやれる』って勇気づける一助になれば」

 前田さんの語りを、朝日新聞記者の依光隆明氏=元高知新聞社会部長=が編集した。232ページ。税抜き1400円。県内書店で販売中。(宮内萌子)

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