2020.09.26 14:35

国勢調査 年々難しく…プライバシー意識・調査員不足

国勢調査の調査票
国勢調査の調査票
今回はコロナ追い打ち
 国の最も基本的な調査で、5年に1度、人口や世帯構成を調べる「国勢調査(国調)」が9月14日から始まった。大正、昭和、平成、令和と時代を超えて100年目を迎えた国調だが、調査環境は回を重ねるごとに厳しくなっている。

調査票をポストに入れる山本さん。今回の調査は原則、非接触で行っている(高知市内)
調査票をポストに入れる山本さん。今回の調査は原則、非接触で行っている(高知市内)
 「国勢調査員の山本といいます。調査票をポストに入れておいてよろしいですか」

 秋の4連休初日の9月19日。高知市中心部のマンションで、山本泰男さん(69)が調査員証をカメラに示しながら、インターホン越しに話し掛けた。

 「ご苦労さまです。お願いします」。インターホンの向こうから丁寧な返答があり、表情が緩む山本さん。「応答がない家も多い。この家はきちんと話ができてよかった」と、調査票をポストに投じた。

■〝非接触〟に
 国勢調査は、幅広い施策や各種統計の基礎データに活用されている。国民生活になくてはならない調査だけに、かける手間、費用も膨大で、前回2015年の調査では720億円の関連予算を計上。携わった調査員は約70万人に上った。

 国勢調査では調査員が各世帯を訪ね、対面で趣旨や内容を説明し、調査票を手渡すのが原則。回答は2010年から郵送、2015年からはインターネットでも可能となったが、配布は対面で行われてきた。

 それが今回は、新型コロナウイルス感染防止のため、説明はインターホン越し、調査票もポストに入れるなど、原則〝非接触〟で行われている。

 懸念されるのは回収率に響くことだ。山本さんは「高齢者に代筆を頼まれることもある。対面で説明しないと未回答や書き間違いが増えるのでは」。

 それでなくとも、未回収率は上がる傾向にある。全国では、2000年1・7%▽2005年4・4%▽2010年8・8%▽2015年13・1%。高知県内は2005年2・1%、2010年13・2%、2015年11・5%で、2010年は全都道府県でワースト2位だった。

 プライバシー意識の高まりやマンションのオートロック化など、調査のハードルも年々上がる。高知市総務課には「調査員が来たが、実在する人か」という問い合わせも。調査員の一人は「年々、負担感が強まっている」と話した。

■辞退多く
 もう一つ、大きな課題になったのが調査員の確保だ。高知県内では公募する自治体もあるが、町内会や民生児童委員らに依頼する市町村が多い。新たに調査員に手を挙げる人は減っており、60歳以上の割合が、2010年41・4%、2015年44・8%、2020年46・0%と高齢化も進んでいる。

 さらに今回は、コロナ禍が追い打ちを掛けた。「『コロナが心配』と辞退する年配の人が多かった」と高知県統計分析課。県全体で集まった調査員は4245人(17日時点)と15年より205人、10年より462人少ない。調査に必要な標準人数(4648人)より約1割少なく、必然的に1人当たりの担当戸数も増えている。

 県内最多の1851人の調査員を必要とする高知市は、初めて市内の大学、短期大学に求人を出したが「集まったのは数人」。さらに、県を通じて県職員やその家族にも協力を呼び掛けたものの、確保できたのは1608人(17日時点)で、5年前より120人少ない。

 高岡郡津野町のように、役場職員で調査して回収率99・9%をはじき出した町もあるが、世帯数の多い自治体の多くは人集めに腐心。ある市の担当者は「大切な情報を扱う。誰にでも頼めるわけではない」とし、「最後は職員に頼んだ」「1人当たりの受け持ちを増やす」などの対応で臨んでいるのが実情だ。

■ネット回答46位
 こうした中、調査員の負担軽減や回収率アップの最善手に位置付けられるのが、ネットによる回答だ。初めて導入された前回の2015年調査では、ネット回答率は全国平均で36・9%だったが、総務省は今回の目標を50%としてPRを図る。

 ただ前回、高知県のネット回答率は26・1%と、沖縄県(22・1%)の次に低かった。高知県統計分析課は「高齢者の多さやネット環境が整っていないことが要因では」と分析。高知市は自宅にネット環境がない人向けに、市役所に回答用のパソコンを設置した。

 未回答だった世帯は後日、調査員が再訪し、近隣住民やマンションの管理人らから該当世帯の人数などの情報を聞き取り、分かる範囲で調査結果を補完することになる。

 高知県統計分析課は「ネット回答率が上がれば、調査の負担を減らすことができる」と期待を寄せ、回答を呼び掛けている。(大山泰志)

カテゴリー: 社会

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