2020.09.24 08:00

【五輪招致疑惑】究明へ再調査が必要だ

 2020年の東京五輪招致を巡る疑惑で新たな事実が明らかになった。
 五輪招致委員会は13年、2億円を超すコンサルタント料をシンガポールの会社に支払っていたことが分かっている。その会社の代表は、国際オリンピック委員会(IOC)委員だったラミン・ディアク氏=セネガル=の息子と親しかったという。
 今回は、シンガポールの会社の口座からラミン氏の息子やその会社に約37万ドル(当時のレートで約3700万円)が送金されていたことが明らかになった。
 送金時期は、東京が五輪開催都市に決まった2013年9月のIOC総会の前後に集中していたという。ラミン氏は、五輪の開催地決定でアフリカ票の取りまとめに影響力を持つ有力なIOC委員だった。
 招致委が支払ったコンサルタント料が、IOC委員の票を集める賄賂などに使われた疑惑をフランスの捜査当局が調べている。しかし、資金の詳しい流れは今まで分かっていなかった。
 そうした状況を考えると、日本の資金が賄賂として招致に使われたのではないかという疑念が深まる。
 新型コロナウイルスの影響で五輪は来夏に延期された。半世紀以上を経て開かれる2回目の東京大会が疑惑を持たれたままでは国民の気持ちは晴れないだろう。
 一連の疑惑を巡っては、当時五輪招致委の理事長だった竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)前会長が2018年、フランスの予審判事の取り調べを受けて贈賄容疑の捜査対象となった。
 その一方で、JOCが設けた調査チームは、招致委側はシンガポールの会社に正当な仕事の対価としてコンサル料を払ったとし、竹田氏もフランス当局の調べに無実を主張している。
 新たな資金の流れが発覚したことに竹田氏は「一切知りませんでした。大変残念に思います」と、弁護士を通して回答した。そう言われても国民は納得しないだろう。
 IOC委員に資金が流れていたとすれば、招致活動で五輪関係者への贈与を禁じるIOCの規定にむろん抵触する。
 JOCの調査チームは、これまでディアク親子を聴取していない。新たな事実が判明したからには、不透明な資金の流れや使途を徹底的に再調査すべきだ。
 コンサルタント契約の資金が贈収賄に悪用されるのは、世界のスポーツ汚職では「常識」とされる。とはいっても、そんな状況が普通になってはスポーツに夢を持つ若者を失望させるだけだ。
 東京五輪には、約200カ国・地域から選手だけで約1万人以上が参加する予定だ。コロナの収束が見通せない中、選手はさまざまな試練に立ち向かっている。
 日本だけでなく各国の選手も同じ状況だろう。晴れの舞台の前に疑惑を完全に明らかにしたい。

カテゴリー: 社説

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