2020.09.23 08:00

【生活保護の減額】コロナ困窮への公助を

 生活保護の一部減額が来月実施される。厚生労働省が2018年10月から段階的に行ってきたものだ。
 2017年当時の推計で、受給世帯の67%が食費や光熱費に充てる「生活扶助」を減額される。一方、26%は増額になる。
 予定通りの実施だが、新型コロナウイルスの影響で、経済基盤が弱い人の困窮が深刻になっている。この状況下での生活保護の減額は、受給世帯への打撃がより大きいだろう。
 いわゆる「コロナ解雇」は先月末時点で5万人を突破した。非正規労働者が雇用の調整弁にされて、真っ先に仕事を失っている。
 生活保護の「予備軍」は増えている。政府は雇用の維持に努めると同時に、コロナで困窮する世帯を公助で支えることを考えるべきだ。
 厚労省は5年に1度、一般の低所得者層の消費支出と比べて、生活保護を見直している。今回は65歳以上の単身世帯の76%、子どものいる世帯の43%で減額する。最大で3・7%のマイナスになる世帯がある。
 受給は高齢者世帯を中心に増えている。13年1月の約157万3千世帯から、今年6月には約163万7千世帯に増加した。
 特に緊急事態宣言が出された4月は申請が2万1486件に上った。休業要請で生活に困った人が多く、前年同月に比べ24・8%という過去最大の伸び幅だった。
 申請から支給決定に至る期間や、決定までの生活をつなぐ支援に自治体間で差があることも問題だ。厚労省は実態を把握し、相談体制を整える必要がある。
 生活保護に至る手前の安全網といわれる制度も利用が急増している。
 緊急小口資金は、国がコロナの影響で減収になった人に最大20万円を特例で貸し付けている。
 県内でも3月末以降の4カ月間で申請件数が約6千件に上り、貸付総額は計10億700万円になった。
 打撃は長期化が見込まれる。政府は経済基盤が弱い人への支援を強化し、生活を立て直せなくなる人が激増する事態を防がねばならない。
 既に、子どもが空腹に耐えるような「コロナ困窮」も広がっている。
 母子家庭の母親約1800人が回答した調査では、収入減などで18・2%が食事回数を減らし、14・8%が1回の食事量を減らしている。
 「子どもたちには2食で我慢してもらい、私は1食が当たり前。3カ月で体重が激減した」―。自由記述欄には悲痛な叫びが並ぶ。
 日本では、働いている女性の5割以上が非正規労働者だ。
 女性の平均給与は男性の7割。2018年の母子世帯の平均所得は306万円で、18歳未満の子どもがいる世帯全体との差は約440万円もある。
 母子世帯の困窮は、社会の構造的な問題と言える。個人の自助や共助だけで解決できるものではない。
 「コロナ弱者」への公助が必要だ。困窮世帯の家計を下支えするような対策を求めたい。政府は、社会の格差拡大を防がねばならない。

カテゴリー: 社説

ページトップへ