2020.09.23 08:00

小社会 ススキの秋

 お山の上は秋がぐんと深まっていた。先の4連休の一日、津野町の天狗高原へ車を走らせた。下界では日中はまだ汗ばむが、標高約1400メートルとなると風が冷たい。半袖だったのを後悔した。

 あいにく雲が多かったものの、重畳と連なる山々のパノラマは絶景。白い石灰岩が点在するササ原で放牧牛がゆったりと草を食(は)んでいる。足元ではアザミの紫とオミナエシの黄色い花の競演も。秋の代名詞、ススキの群生が風に銀色の穂波を揺らしていた。

 秋の野のしっとりした風情はススキがしょって立っている。清少納言は枕草子でそう絶賛するが、冬になると評価は一転。白いぼさぼさの穂のまま、昔の盛りの時を思い出しているかのように風に揺れる姿は痛ましいと。

 それは〈人にこそいみじう似たれ〉。老いて過去に執着する人間の一生のようだと手厳しい。詩人の高橋睦郎さんによると、この「人」は清少納言自身。仕えた皇后の死後も冥福を祈り、髪が白くなっても枕草子を書き続けた晩年をススキに重ねた(「歳時記百話」)。

 野の草花を見て「人生の秋」を思う。そんなふうに読めば厳しい言葉の裏側に、「老い」をいたわる清少納言の優しさを感じ取ることもできよう。

 コロナ禍に伴うさまざまな制限が徐々に緩和される日々。天狗高原も多くの観光客でにぎわっていた。感染症への警戒はまだ解けないけれど、秋を見つける小さな旅から少しずつ。


9月23日のこよみ。
旧暦の8月7日に当たります。つちのと み 七赤 友引。
日の出は5時55分、日の入りは18時01分。
月の出は12時12分、月の入りは22時21分、月齢は5.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で3時45分、潮位47センチと、15時47分、潮位113センチです。
満潮は10時33分、潮位162センチと、21時27分、潮位173センチです。

9月24日のこよみ。
旧暦の8月8日に当たります。かのえ うま 六白 先負。
日の出は5時55分、日の入りは18時00分。
月の出は13時16分、月の入りは23時15分、月齢は6.7です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で4時49分、潮位57センチと、16時54分、潮位129センチです。
満潮は12時12分、潮位151センチと、22時18分、潮位159センチです。


カテゴリー: 小社会コラム

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