2020.09.21 08:01

【敬老の日】よりよく老いるために

 きょうは敬老の日。今年、全国で100歳以上の人が初めて8万人を突破した。
 統計が始まった1963年には153人だった。かつては想像できなかった超高齢化社会になった。
 高知県でも836人と過去最多を記録した。人口10万人当たりに換算すると119・77人になり、その数は都道府県別で2番目に多い。
 その1人である安田町の108歳女性、小松鶴治(つるじ)さんが高知新聞で紹介されていた。今月、長寿を祝う県知事の訪問を受けた。
 小松さんは自立して生活できる「健康寿命」を維持している。取材にしっかりと答え、肌つやの良い笑顔で花束を受け取っていた。その元気そうな様子は、超高齢化社会における憧れの姿だろう。
 誰しも、健康で安心して老後を迎えたい。その基盤となる社会保障制度を揺るがしかねない「2022年問題」が迫っている。
 2022年から2025年にかけて、人口の多い団塊の世代(1947~49年生まれ)が75歳以上になる。医療や介護にかかるお金が急増する年齢だ。
 社会保障給付の総額は2018年度の約121兆円から、2025年度には約140兆円に跳ね上がるとされる。
 制度を持続させるための改革が、待ったなしの難題になっている。
 認知症の急増も見込まれている。推計では、2025年には高齢者の5人に1人に当たる約700万人に達する。
 国は昨年まとめた認知症大綱で、「予防」を前面に押し出した。他の病気と同じく、運動や健康的な食事などで発症を抑えられるからだ。
 そんな中、フレイル(虚弱)予防が注目されている。国は今年4月から関連の健診を始めた。社会との関わりなども含めて、健康づくりを多方面からチェックする。
 体を動かし、食べ物はしっかりかみ、みんなとわいわい食べる。これがフレイル予防の基本という。
 高知市考案の「いきいき百歳体操」に代表される、人と交流しながらの運動も大きな効果がある。
 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が立ちふさがる。
 県内でも外出自粛や施設の面会制限で、認知症の人が症状を悪化させているケースがあり、そうでない人も発症のリスクが高まっている。
 高齢者の健康を損なわない観点からも、コロナの長期化を食い止めなければならない。
 人は誰しも必ず老いる。安心して老後を迎えられる社会づくりは、時代を超えたテーマだろう。
 これまで日本社会では、効率化や生産性が懸命に追求されてきた。
 しかし、高齢者の割合がさらに高まる社会で、その方向性を続けることは現実的だろうか。価値観の見直しも問い掛けられている。
 年代ごとにその人らしい目標があり、心豊かに暮らせる。若い頃に「よりよく生きる」ことを目指した人たちが、年を重ねて「よりよく老いる」ことに前向きに取り組める。そんな超高齢化社会を目指したい。

カテゴリー: 社説

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