2020.09.11 08:39

第74回県展は予定通り開催 県内作家の意欲高まる

書道作品に取り組む大山和歌子さん=左=ら(高知市中水道の「筆の友書道会」事務所)
書道作品に取り組む大山和歌子さん=左=ら(高知市中水道の「筆の友書道会」事務所)
 高知県内作家の力作、自信作が並ぶ芸術の祭典「県展」。新型コロナウイルスの流行下で迎える今年の「74回県展」は10月9~25日、高知市の県立美術館と市文化プラザ「かるぽーと」で感染対策を施して開催されることになった。猛暑や新型コロナによる制約の影響を受けながら、制作活動に励む県内作家たちの思いなどを取材した。

「コロナに負けず 入選を」
 25年以上洋画部門に出品を続ける吉松由宇子さん(76)=高知市浦戸=は例年通り1月から、自宅隣のアトリエで作品を描き始めた。ところが、新型コロナの感染が拡大。いつもアトリエにやって来て一緒に絵を描く友人は感染を恐れて顔を出さなくなり、吉松さんも制作意欲が後退。全国の緊急事態宣言(4月17日~5月14日)中は全く描けなかったという。

 転機は8月初旬。旧知の友人が「今年も県展出すろう。楽しみにしちゅうきね」と励ましの電話をかけてきてくれた。昨年の県展は7年連続だった入選が途絶え、悔しい思いをした吉松さん。リベンジするぞという気持ちに火が付いた。3点を出品することにし、「コロナに負けず、今年も入選したい」とアトリエで一人絵筆を走らせている。

■中止も検討
 敗戦2年後の1947年に始まり、毎年行われている県展。1998年10月の高知豪雨で県立美術館の作品が水没した52回県展(99年1~2月に県展復活展として再実施)以外、中止したことはない。

 今年は1月の理事会で例年通りの秋開催を決め、3月に日程や募集要項を発表したが、緊急事態宣言が4月に出され、愛媛や香川の県展(春季や夏開催)は中止に。秋に予定している高知の県展事務局も「98年以来の難局。この状況が続くと、実施できないかもしれない」と頭を抱えた。その後、感染者数が落ち着く気配を見せたため、6月の理事会で「対策を徹底すれば開催できる」と確認。

 8月の全国感染者数は緊急事態宣言時を上回ったが、同中旬以降は減少傾向にあり、県展開催方針に変更はない。ただし、審査員による講評会や前夜祭、作品解説は中止。表彰式は、午前と午後に分けて実施することになっており、県展事務局は「作家や観覧者の方にも協力してもらって難局を乗り越え、成功させたい」としている。

■ルーティン
 「県展に出すのがルーティン。開催が決まって良かった」と話すのは、大学生の時から書道部門に出品を続けている小学校教員の大山和歌子さん(53)=高岡郡佐川町加茂。6月に高知新聞で県展開催を知り、例年より約2カ月遅れで制作に着手。週に数回、高知市内の書道教室の一室を借り、2、3人の仲間とマスク姿で作品づくりを続けている。

 今年は初めて仮名の作品にも挑戦。「仲間と書くと刺激になる。搬入ぎりぎりまで頑張って納得がいく作品が出せたら」と意気込んでいる。

 コロナ禍で迎える芸術の秋。県内作家たちの努力と挑戦は今年も変わらない--。(楠瀬慶太)

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カテゴリー: 文化・芸能県展文化

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