2020.09.10 08:00

【子どもの幸福度】自分という存在を大切に

 国連児童基金(ユニセフ)は、日本を含む先進国や新興国の38カ国を対象にして、子どもの幸福度をはかるランキングを公表した。
 日本の子どもの「身体的健康」は世界1位だったが、「精神的な幸福度」は37位と心配される結果になった。生活に満足している割合が低く、自殺率も高いことから世界最低レベルに位置付けられた。
 教育問題の専門家は「日本の子どもは自己肯定感が低く、幸福感が育たないのは必然的だ」と指摘する。
 学校でのいじめや家庭内不和も影響している。子どもが人間関係の中で受け入れられたと感じ、自己肯定感を得られるような社会的なサポートが必要になっている。
 ユニセフは2015~19年の統計データから「身体的健康」「精神的な幸福度」「学力・社会的スキル」の3分野でそれぞれ順位を付けた。
 総合順位の1~3位はオランダ、デンマーク、ノルウェーの順。米国は36位で、最下位はチリになった。
 日本は20位だった。「身体的健康」の分野では、肥満の少なさや死亡率の低さが高く評価された。これに対して「精神的な幸福度」では、指標としている15歳の子どもで生活に満足している割合は62%と、ワースト2位だった。
 15~19歳の10万人当たりの自殺率は7・5人と高く、最も低いギリシャの約5倍だった。
 日本では、大人の自殺は減少傾向だが、未成年の自殺は増えている。
 公表されている直近の18年の統計では、自殺した19歳以下は前年比32人増の599人だった。
 特定できた原因・動機のうち、最も多かったのは「学校問題」だ。学業不振や進路の悩み、友達との不和、いじめなどが理由だった。
 17年の人口動態統計では、戦後初めて10~14歳の死因で自殺が1位になった。追い詰められている子どものSOSをキャッチし、死に至ることを防ぐ態勢づくりが急がれる。
 ユニセフの調査では、日本の子どもたちの人間関係に対する自信のなさも垣間見える。
 「学力・社会的スキル」の分野では、読解と数学力の学力は世界5位だった。しかし「すぐに友達ができる」という社会的スキルについては、自信がある15歳の割合は世界最低クラスの69%にとどまった。
 調査全体の分析は進められているところだが、家族のサポートが少なかったり、いじめに遭ったりしている子どもは明らかに「精神的な幸福度」が低い結果が出ているという。
 また今回使われたデータは、新型コロナウイルス流行前の数字だ。ユニセフはコロナによる経済、教育、社会への悪影響によって、子どもの幸福度が下がる懸念も示している。
 日本でも、子どもが自分という存在を大切に思えるように、家庭や学校以外の居場所づくりなど支援態勢を充実させる必要がある。
 どの子も安心して幸福な子ども時代を過ごせる。そんな社会を目指したい。

カテゴリー: 社説

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