2020.09.10 08:00

小社会 姉妹の死

 セミの死骸を見ると大抵、仰向(あおむ)けになっている。それには理由がある。昆虫は硬直すると足が縮まり、関節が曲がる。そのため地面で体を支えていることができなくなり、ひっくり返ってしまう。

 死の間際、セミは何を見ているのだろう。青い空か。それとも夏の終わりの入道雲だろうか。そう思っていたが、セミの目は体の背中側にある。仰向けになったら、見えるのは地面の方だ。農学博士、稲垣栄洋(ひでひろ)さんの本「生き物の死にざま」で気づかされた。

 セミのオスは、盛大に鳴いてメスを呼び寄せ交尾する。繁殖行動こそが成虫の役割のすべて。あとは死を迎えるだけである。次の世代へ命のバトンをつないで育む―。あらゆる生き物に共通する自然の摂理のはずである。

 高松市で若い母親が6歳と3歳の娘を車の中に長時間放置し、熱中症で死亡させた。自身は知人男性と夜通し飲酒していたという。母親の振る舞いはにわかには信じ難い。暗く暑い車内。姉妹はどんな思いでいただろう。幼い姉は最期まで妹の世話をしていたかもしれぬ。

 親子が乗っていたのは高級外車だった。姉妹はどのような家庭環境に置かれていたのか。本来なら最も守られるべき子どもが守られない。生きづらさを抱えた子どもたちの存在が、外部からは見えにくい。そんな社会だと痛感する。

 誰にも気づかれずに命が消えそうになった時、姉妹の瞳には何が映っていただろうか。


9月10日のこよみ。
旧暦の7月23日に当たります。ひのえ たつ 二黒 大安。
日の出は5時46分、日の入りは18時19分。
月の出は23時02分、月の入りは12時43分、月齢は22.0です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で4時33分、潮位72センチと、16時07分、潮位118センチです。
満潮は11時13分、潮位144センチと、22時03分、潮位158センチです。

9月11日のこよみ。
旧暦の7月24日に当たります。ひのと み 一白 赤口。
日の出は5時46分、日の入りは18時18分。
月の出は23時49分、月の入りは13時40分、月齢は23.0です。
潮は小潮で、干潮は高知港標準で5時47分、潮位75センチと、17時40分、潮位130センチです。
満潮は13時16分、潮位142センチと、23時17分、潮位150センチです。

カテゴリー: 小社会コラム

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