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2020.09.07 08:33

安倍政治×高知7年8カ月(1)経済 アベノミクス効果限定的

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2013年参院選の応援で高知を訪れた安倍晋三首相。アベノミクスの成果を挙げて「政策は間違っていない。この道しかない」と訴えた (同年7月9日、高知市の中央公園)

 7年8カ月続いた安倍政権。高知の目線で振り返る。

 2012年12月に発足した第2次安倍政権は、大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を掲げ、アベノミクスと称した。これによって円安や株高を実現し、輸出企業を中心に業績が改善した。

 輸出産業や製造業のウエイトが低い高知県は恩恵が限られる構造だったものの、時期が重なる形で尾﨑県政による産業振興計画の実践も本格化。それまで落ち込んでいた経済指標は改善に振れた。

 日銀が四半期に1回行う企業短期経済観測調査(短観)は、2012年12月はマイナスだったが、1年後、17年ぶりにプラスに転じ、新型コロナウイルスの影響が出る今年までプラスを維持した。

 公共投資も高い水準で推移。人口の減少局面にありながら、県内総生産(GDP)は成長曲線をたどった。有効求人倍率も史上初めて1倍を超えた。

 だが、企業業績が県民の家計や生活実感には結びつかなかった。

 物価の変動を反映させた実質賃金指数はほぼ横ばい。2018年は調査対象の事業所を変更した影響もあって大幅に下がった。

 高知新聞の県民世論調査では、アベノミクスの評価は2013年6月に「評価する」が56・0%だった。これが2014年11月は39・0%に下落。「回復の実感」を問う質問には、「実感しない」が2016年5月、2017年9月、2019年5月のいずれの調査でも8割を超えた。

 指標の中身をひもとくと二極化も見える。企業所得の伸びは小規模事業者は相対的に低く、就業者も非正規の割合が高まった。

 県内で、少なくない企業がアベノミクスの恩恵を受けたのは間違いないだろう。ただ、家計への広がりは限定的だったことがうかがえる。また、その恩恵は中央から地方、大から小へ流れる構図であり、結果的に都市部と地方の格差を招く形にもなった。(報道部・小笠原敏浩)

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