2020.09.03 08:34

安倍政権に幕 高知県民が感じた功と罪 「説明責任」に厳しい声 【なるほど!こうち取材班】

2013年参院選の応援で高知を訪れた安倍晋三首相。経済成長の実績を訴え、「誇りある国日本をつくっていこう」と訴えていた (2013年7月9日、高知市の中央公園)
「功は経済」「政治不信醸成」
 7年8カ月にわたった第2次安倍政権が幕を下ろす。安倍晋三首相による突然の辞意表明を受け、歴代最長政権の功罪を高知県民はどう感じているか。メールやファクス、「なるほど!こうち取材班」の無料通信アプリ「LINE(ライン)」窓口などを通じて高知新聞に寄せられた「政権への声」を紹介する。


■アベノミクス
 「長い間お疲れさまです」「ゆっくり治して」。政権への支持・不支持はあれど、意見を寄せた多くの県民が、まずは病を抱えながら重責を担った安倍首相をねぎらった。

 「私も潰瘍性大腸炎の持ち主で10年のキャリア」と明かした高知市の40代女性教員は「政権運営は順風満帆ではなかったが、リーダーシップを発揮したと思う」と評した上で「元気になって、同じ病気で苦しんでいる国民に勇気をください」とエールを送った。

 安倍政権は、デフレからの脱却を最大目標に掲げた経済政策「アベノミクス」など、さまざまな施策を展開。難題に取り組んだ成果への評価は割れた。

 「功の部分はやはり経済面」とする50代女性会社員は、安倍政権下で県内の有効求人倍率が1倍を超えたことなどに触れ、「私も薄給ながらお給料が上がりました」。このほか、「確かに最低賃金は上がった」との意見もあった。

 一方、四万十市の40代主婦は「消費税が上がって買い物はどんどんしづらくなるのに、何も変わらない」と景気回復の実感の乏しさを訴え、新型コロナウイルス感染症対策には「国と地方がちぐはぐ過ぎて、『自分の身は自分で守る』と思いながら生活しないといけないのかな」と疑問を呈した。

 「トランプ大統領との友好関係があるから、日本はまだ守られている」。南国市の50代パート女性は日米同盟の強化を重視した外交面の成果を評価した。

 これに対し、高知市の60代主婦は、集団的自衛権の行使を限定容認する安全保障法制や特定秘密保護法、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を列挙し、「『安倍1強』で成立したこれらの法律は直ちに廃止するべきだ」と強調した。

■モリカケ桜
 森友、加計学園問題、「桜を見る会」問題、公文書改ざん…。いくつもの疑惑や不祥事が持ち上がった安倍政権。閣僚の「政治とカネ」問題や失言も含め、安倍首相に説明責任を果たすよう求める人も多く、「政治の私物化」などと厳しい批判が上がった。

 「一連の不祥事に何一つ答えを出さず、責任も取らず、政治不信を醸成し続けてきた」。大豊町の70代男性は「日本の議会制民主主義はすっかり腐ってしまった。なんとも悲しい7年8カ月だった」と嘆いた。

 高知市の50代主婦も「総理の権限を私物化してなんの責任も取らないまま。もろもろの疑惑も解明されないまま幕引きになるのでしょうね」と突き放す。

 須崎市の60代農業女性が「一番腹が立った」としたのが黒川弘務元東京高検検事長の定年延長と賭けマージャン問題。「起訴されず、処分も甘く、退職金も支払われ、われわれ庶民とは感覚がずれている」とぶちまけた。

 説明責任を問われ続けた安倍首相。辞意表明の会見では「(説明が)十分かどうかは国民が判断することだ。説明ぶりは反省すべき点もあるかもしれないが、政権を私物化したことはない」と述べている。

 安倍政権を支持する立場の人からは、メディアの姿勢を疑問視する声もあった。

 高知市の50代男性税理士は「誰が(首相に)なってもすぐに政治に関係ないくだらないスキャンダル記事や少しの失言の追及など、何でも批判し、褒めることを知らない。安倍首相を選んできた国民に失礼ではないか」との見解を示した。

■残された課題
 安倍首相自身は残された課題として、北朝鮮による日本人拉致問題解決、ロシアとの平和条約締結、憲法改正を挙げている。

 高知市の40代女性会社役員は、「憲法改正は国民一人一人が必要性を感じないとまず無理。手続きの改正に熱心で『なぜ改正したいのか』という一番大事な本質論はまるでしない」と指摘し、「結局はこの8年弱、幻を見せられていたように思います」とつづった。

 このほか、東日本大震災などの災害復興▽原発問題▽沖縄の米軍基地問題―など、辞任表明会見であまり触れられなかった課題への取り組みを求める声も。こうした難題は次の首相に積み残される。

 高知市の50代主婦は「わが身に置き換えて弱者、困窮者を助け、その上で国の発展を願う、そういう人にリーダーになってほしい」と要望。

 安芸市の80代男性は「野党のいいかげんさに支えられた長期政権、その一言。どの問題も一方通行、国民無視。国民もすぐ忘れ、支持率は上がる。その繰り返しでした」と7年8カ月を振り返り、こう問いかけた。

 「子や孫のために憲法を守り、少しは納得できる希望のある政治はできないだろうか」

内閣支持率 高知県は辛め
 第2次安倍政権が発足した2012年12月以降、高知新聞社は県民向けの世論調査を計7回行った。共同通信がこの間に実施した全国世論調査(計102回)の推移と比べると、高知県民の安倍内閣支持率は総じて辛め=グラフ参照。特に、2018年末の調査(郵送方式)は支持率が26・8%まで下がり、全国調査との落差がネットで話題になった。

次期首相に何を望む? ご意見募集
 安倍晋三首相の辞意表明から、国政の焦点は「ポスト安倍」選びに移っています。課題が山積する中、新リーダーに何を期待するか。望ましい政治姿勢や人物像、取り組むべき政策など次期政権に対する県民の「声」をお寄せください。

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