2020.08.31 08:39

「首長カー」は環境・機能重視 黒塗りは「絶滅危惧種」?【なるほど!こうち取材班】

環境配慮、執務効率、コスト削減…。首長公用車への考え方はいろいろ。上から時計回りに県のヴェルファイア、土佐市のカブ、仁淀川町のレクサス(コラージュ=岡崎紗和作成)
専用車なし、バイクも
 「首長の公用車。ある町は高級車だそう。必要あるの? 他の自治体は?」。そんな疑問の声が、高知新聞「なるほど!こうち取材班」に寄せられた。首長が乗っている車と言えば、ちょっとした威圧感を漂わせる黒塗りのセダンタイプを思い浮かべる人が多いかもしれない。高知県内の首長カーについて調べてみると…。

 ハイブリッドあり、電気自動車あり、主流を占めたのは環境配慮型だった。後部座席でゆったりくつろぐどころか自ら運転する首長や、「専用車なし」という自治体もあり、自らバイクで駆ける市長まで。威厳や高級感よりも、実用性が優先される時代のようで、「黒塗り高級車」は“絶滅危惧種”!?。

 理解得やすい?
 県内34市町村と県の首長公用車の利用状況について、高知新聞の取材結果は〈表〉の通り。

 最多の12市町村がハイブリッド車のプリウスを使用。佐川町は昨年、首長車で唯一となる電気自動車を導入し、車庫には充電設備も整備した。

 車選びの決め手は、環境への配慮。「燃費が良く環境に優しい」(土佐清水市)、「災害時の蓄電にも使える」(土佐町)と、ほぼ共通している。

 「ぜいたく」批判を避け、住民理解も得やすいというわけ。エコカー普及を推進する国の補助制度なども追い風になったようだ。

 次に目立つのは7、8人乗りのミニバンタイプ。県西部のあるベテラン課長は「以前に知事が白っぽいミニバンを使い始めたのは驚いた。よく覚えている」と振り返る。

 県は橋本県政時代の2006年度、経費節減の一環で高級セダンを廃止。ハイヤーなどで代用していた。しかし、尾﨑県政の2008年、県議会側から車内執務の「守秘義務の観点から問題」などの指摘もあり、専用車を復活させ、8人乗りのエスティマを購入した。

 現在は浜田省司知事ら9首長がミニバンタイプを使っている。

 選定理由は「走りながら打ち合わせができる」「急な不幸などに対応して車内で着替えることがあるため」「待ち時間に体を休められる」と移動手段以外の機能性を強調。“走る執務室”の位置付けのようだ。

「貧乏やきよ」
 一方、「専用車なし」は9市町村。ある首長は「今は専用車で格好付ける時代じゃない」ときっぱり。「もともとない」(大川村)という所もある。

 大月町や黒潮町は、維持コストの面から専用車(いずれもクラウン)を廃止した。タクシーや職員との共有車で十分、との考えだ。

 異彩を放つのは、土佐市。板原啓文市長が愛用しているのが90ccバイクのカブだ。

 県外出張などは総務課のプリウスに乗るが、移動は基本的にバイク。少しぐらいの雨なら雨具を着て走る。その姿は市内でも見慣れた光景だ。

 「訪問先で駐車場を探すのもめんどいし、うちは貧乏やきよ」と板原市長。カメラを向けた朝も、スーツ姿にヘルメットで“愛車”にまたがり、高知市での会議に向かった。

次は普通の…
 さて、少数派となった黒塗りセダンはどこに?

 黒のクラウンを使う四万十市は1999年購入。車種選定の詳しい経緯は分からないものの、担当者は「おそらく周辺自治体の公用車にならった」。

 中土佐町も2002年に購入した濃紺の同車種。ただ、走行距離は20万キロ以上で、故障が多く出張先で動かなくなったこともあるが、現時点で買い替える予定はないという。

 黒いレクサスを使っている仁淀川町の大石弘秋町長は町民から「えらい高級車に乗りゆうねや」といわれることがあるという。

 色や車体の印象は「高そう」だが、他に比べて飛び抜けて高額ではないのだとか。大石町長は「高級車といっても一番下のクラス。燃費の良さなどを理由に購入した」としつつ、こう話した。

 「以前は黒塗りに乗る首長が多かったが、時代が変わったね。次は、普通の箱形ワゴン車になると思う」

 わがまちのトップが使う公用車。皆さんはどう考えますか?(高知新聞取材班)

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