2020.08.25 08:37

高知県への移住増えるか コロナ禍で地方回帰の機運

コロナ禍をきっかけに高知移住の相談を始めた女性=手前(東京都千代田区の県移住相談窓口)
コロナ禍をきっかけに高知移住の相談を始めた女性=手前(東京都千代田区の県移住相談窓口)
移住相談 オンライン強化 テレワーク支援拡充も
 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、「地方回帰」の機運が高まっている。都会よりも感染リスクが低いほか、在宅勤務の拡大や家族との時間を大切にしたい人の増加が要因。高知県の相談窓口にも問い合わせが相次いでいる。

 8月上旬、東京都心にある高知県の移住相談窓口。相談員とアクリル板越しに向き合う男性会社員(34)がいた。妻の古里である高知市への移住を決め、就職先を探していた。

 男性は4月から自粛生活が続き、「都会の生活を見直すきっかけになった。今後について妻と話す時間が増えた」。高知は東京より感染リスクが低く、通勤のストレスも少ない。子育て環境の良さや妻の出身地という安心感もある。「家族との時間を大切にしたい」と期待する。

 高知県移住促進・人材確保センターによると、コロナ禍がきっかけの移住相談は4~7月に少なくとも21件。「コロナで失業した」「リモートワークが一般的になり、地方暮らしを考え始めた」という相談者もいるという。

 高知県移住促進・人材確保センターは「コロナ禍が、都市と地方の暮らしを比較するきっかけになった。情報発信を工夫し、移住を後押ししたい」という。
  
オンラインで高知県への移住相談に応じる担当者 (東京都千代田区)
オンラインで高知県への移住相談に応じる担当者 (東京都千代田区)
窓口に相談相次ぐ 県「後押しを」
 新型コロナウイルス禍の地方移住促進に、高知県はオンラインによる移住相談を強化している。全国的に同様の取り組みが広がる中、呼び込み策の充実をどう図るか。

 「就業先はさまざま。いろんな可能性がありますよ」

 8月上旬、東京都千代田区にある高知県の移住相談窓口。高知県移住促進・人材確保センターのコーディネーター、吉井裕之さん(58)がパソコンに向かって語り掛けていた。

 この日は東京、大阪の相談者3人にビデオ会議アプリを使い、高知県の生活環境や求人情報などを説明。相談した大阪市の男性会社員(57)は「オンラインなら交通費もかからない。説明も十分だった」。画面越しに笑顔を見せた。

■代替手段
 内閣府が新型コロナに伴う生活意識の変化を尋ねた調査では、東京23区内の20代の3割が「地方移住への関心が高まった」と回答した。

 実際、都内に住む高岡郡四万十町出身の女性会社員(26)は、都道府県境をまたぐ移動の自粛要請が続いた際、「家族に何かあっても帰れない。つらかった」。高知市へのJターンを考えているという。

 ただし高知県移住促進課によると、今年4~7月に高知県移住促進・人材確保センターと県内34市町村に寄せられた相談件数は、前年同期比45%減の810件。「新型コロナの影響で対面相談ができなかったことや相談会の中止が響いた」

 そこで代替手段として強化したのが、オンライン相談会だ。

 8月には高知県内34市町村がオンラインで相談を受け付ける「高知暮らしフェア」をスタート。9月18日までの期間中、実際に移住した人との交流会や1次産業セミナーなどウェブ上でイベントを開催している。

 また、8月の毎週末にはオンラインで「就職・転職フェア」も開催。県内37社の採用担当者とウェブを通じた面談を進めている。

 とはいえ、高知県移住促進・人材確保センターの山地和代表理事は「これまで200人規模だったイベント参加者を、全てオンラインで取り込むのは難しい。対面とウェブを組み合わせて対応する必要がある」と話す。

■各県競合
 41道府県が窓口を置くNPO法人「ふるさと回帰支援センター」(東京)では7月以降、オンラインセミナーがめじろ押しだ。

 8月初旬に開催した長野県のセミナーには約20人が参加した。長野県の担当者は、リゾート地に滞在して休暇を楽しみながら働く「リゾートテレワーク」などの仕組みを説明。「民間のシェアオフィスと連携した起業支援策もPRしたい」と話す。

 高知県移住促進課も「オンライン相談は今まで以上に乱立する」とみており、他県との競合を意識。片岡千保課長は「いかに高知に目を向けてもらうか。テレワークに対応した支援策も充実させる必要がある」としている。(東京支社・五十嵐隆浩)

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カテゴリー: 社会移住社会

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