2020.08.25 08:00

【秋元議員再逮捕】裁判の公正さをゆがめる

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で、裁判の公正さを損ないかねない疑惑が持ち上がっている。
 東京地検特捜部は、収賄罪で起訴されている衆院議員、秋元司容疑者=自民党を離党=を組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いで再逮捕した。
 秋元議員は、贈賄罪で起訴された中国企業側に裁判で虚偽の証言をするよう依頼し、報酬の提供を持ち掛けた疑いが持たれている。偽証を働き掛けたとされる秋元議員の支援者ら3容疑者も既に逮捕されている。
 秋元議員は、IR事業を所管する内閣府の副大臣当時に贈賄側の中国企業側から現金などを受け取った収賄容疑で2回逮捕されて、起訴された。
 今年2月の保釈後に議員活動を再開し、会見などでは一貫して汚職事件への関与を否定していた。
 しかし、今回の逮捕容疑は自分の裁判を有利に進めるためだとみられている。無罪を強く訴え続けておきながら、裁判の公平・公正さを根底から覆すような行為への関与の疑いをなぜ持たれるのか。
 証人等買収罪は、相手が金銭を受け取らなくても、提供を申し込めば罪に問われる。同罪で逮捕されている容疑者の一人は、秋元議員から贈賄側への働き掛けを頼まれたと供述しているという。
 さらに、虚偽証言の報酬として用意した現金の一部に、秋元議員の指紋が検出されたとの報道もある。
 容疑が事実なら言語道断だ。
 司法の場での真相解明が待たれるが、一連の事件について議員が所属していた自民党は国民の納得がいく説明責任を果たしていない。
 秋元議員の保釈後、証人喚問を野党が要求したが実現しなかった。自民党を離党していたとはいえ、疑惑解明に消極的な自民党の姿勢が、国民の政治不信をさらに深めたのは間違いない。
 秋元議員の今回の再逮捕を受け、野党は議員辞職を求めている。辞職しない場合は辞職勧告決議案を国会に提出する構えだ。
 現在、秋元議員は無所属だが、特別会員として自民党の二階派に名を連ねていた。きちんとけじめをつけるよう説得する役目が安倍政権にはありはしないか。
 IR事業は安倍政権の成長戦略の柱に位置付けられていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大などで状況は大きく変化した。
 横浜や首都圏でのIR開発に意欲を示していた米カジノ大手は進出を断念した。誘致を表明している4地域のうち、大阪府・市は事業提案書の提出期限を延長した。横浜市もコロナ対策優先で実施方針の公表を先延ばししている。
 ギャンブル依存症の深刻化や治安悪化といったIRを巡る国民の懸念は解消されていない。推進しようとした政治家にさらなる疑惑が出た以上、本当に必要な事業なのか立ち止まって考える必要がある。

カテゴリー: 社説

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