2020.08.22 08:00

【施設クラスター】積極検査で命を守りたい

 新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、支援や介護が必要な人たちの施設で、クラスター(感染者集団)の発生が相次いでいる。
 高知県でも8月、高知市の障害者支援施設「あじさい園」で発生した。これまでに入所者と職員ら計18人の感染が分かっている。
 ウイルスが水際対策をすり抜け、集団生活の場で感染が広がった。
 このような施設でのクラスター化を防ぐには、コロナ侵入を想定した対策が必要だ。入所者に疑わしい症状が出れば、積極的にPCR検査が行える態勢づくりを急ぎたい。
 あじさい園では知的障害のある20~80代の45人が生活している。
 入所者は体調の変化を正確に訴えたり、マスク着用などの予防策を取ったりすることが難しい。そのため、施設ではウイルスを持ち込まない水際対策を徹底してきたという。
 3月以降は入所者と家族に面会や帰宅を控えるように要請し、自宅からの通所利用者は運営法人の別施設で対応した。7月からは短期入所の受け入れも休止していた。
 しかしウイルスは侵入した。水際対策で完全に防ぐことは難しい。今後、県内の同様施設でも感染者が出て、クラスターが発生することが心配される。県外では既に相次いでおり、亡くなる人も出ている。
 高齢者は重症化するリスクが高い。その集団で感染が広がれば多くの命が奪われかねない。
 複数の施設で立て続けに発生したりすれば、病床がいっぱいになり医療崩壊を招く恐れもある。
 感染者を早めに発見するため、PCR検査を活用し、施設内のクラスター化を食い止める必要がある。
 あじさい園の運営法人理事長も、記者会見で「早期検査のシステムをつくってほしい」と訴えた。
 県は態勢を強化しつつある。
 これまでは県衛生環境研究所でPCR検査を行ってきた。実施に至るには、まず帰国者・接触者相談センターに相談し、専門外来を受診するなどの手続きを踏んでいかなければならなかった。
 今月からは「検査協力医療機関」で検体を採取し、県外の民間検査会社に送ることも可能になった。手続きが簡略化できるメリットがある。
 この仕組みを活用し、施設のかかりつけ医に検査協力医療機関になってもらい、感染者の早期発見につなげたい考えという。入所者に疑わしい症状があれば往診してもらい、唾液を採取して検査に送る流れだ。
 現在、検査協力医療機関への応募は県が想定している数には達していない。今後も理解を求めて増やしていく必要がある。
 これから秋以降、インフルエンザも流行する。コロナとインフルの症状は見分けが付かず、検査で判別するしかないという。PCR検査の役割はますます高まっている。
 クラスター発生はどこの施設でもあり得る。施設で生活している人たちの命を守るため、関係機関の連携を強めてもらいたい。

カテゴリー: 社説

ページトップへ