2020.08.06 08:40

「まんが甲子園増刊号」入賞作品 テーマ「新しすぎる生活様式」

 今夏、新型コロナウイルスの影響で初めて中止となった、全国高等学校漫画選手権大会(まんが甲子園)に代わって行われたウェブイベント「まんが甲子園増刊号」。コロナ禍での初の試みながら、1枚漫画募集企画には国内30都道府県と台湾、シンガポール、韓国のペン児から372点の力作が寄せられ、熱い闘いに。全11点の入賞作品と、牧野圭一・審査委員長、くさか里樹・審査員による総評、上位作品の講評を紹介する。全審査員8人がそれぞれ独断と好みで選んだ個人賞については、各審査員がコメントした。

※海外作品は、高知新聞社が作中に翻訳を配置しました。

【最優秀賞】浅香里桜(りお)さん(静岡・伊東高城ケ崎分校)

【2位】シン・ファヨンさん、ヨ・ヘウンさん(韓国・全南芸術高)

【3位】岡崎さくらさん(福岡・真颯館高)

【牧野圭一賞】山田美紅(みく)さん(静岡・三島学園知徳高)

【くさか里樹賞】ジョディー・リアウ・カイ・シンさん、ワン・フィイさん、メリアン・プウィンツ・プー・タツさん(シンガポール ナショナル・ジュニアカレッジ)

【Moo.念平賞】牧野佳歩さん(香川・善通寺第一高)

【弐尉マルコ賞】佐々木唯歩(いぶ)さん(群馬・吉井高)

【木野陽賞】紺田朱里(あかり)さん(愛知・豊明高)

【クメヒロオ賞】相川愛唯(めい)さん(岡豊高)

【岩神義宏賞】陳姿卉(チンツーフェイ)さん、李芸瑋(リゲイイ)さん、呂汶倩(リョブンセン)さん(台湾・三重高級中学)

【ひのもとめぐる賞】角田明花(すみだはるか)さん(鳥取・米子高)


講評 1枚漫画の魅力 最大限に/一番普通の状況描写
【最優秀賞】
 緊迫感みなぎる審査会場で、力を抜いた変化球がさわやかな笑いを誘った。1枚漫画の魅力を最大限発揮していた。(牧野)

 決勝に進んだ作品の中でも、一番普通の状況を描いた作品かもしれない。写真を撮る瞬間「はい マスク!!」の合図でみんなが危険を冒してマスクを取る。みんなが受け入れて定着し、生活の一部になりそうな新しい生活様式。こまがすっきりして絵もうまく、完成度が非常に高かった。(くさか)

【2位】
 言葉の壁を乗り越えて2位。丁寧な作風が審査員の共感を呼び、多くの票を得た時は拍手が起きた。「漫画は世界共通語」と言われて久しいが、応募メンバーの人柄までが伝わってくるのはうれしい。(牧野)

 配達員の体温やマスクが検知できるシステムは新しい。最後のオチは、マスクをしていないきれいなお姉さんが出てくるオヤジネタ。せりふのテンポがすごく良く、キャラクターもかわいらしい。古式ゆかしい漫画という感じ。(くさか)

【3位】
 ライオンとシマウマのキャラクターと表情が実に個性的。「密」を語り、「生存」を賭けた画面から、このタッチでしか生み出せない独自世界が生まれている。(牧野)

 シマウマをだまそうとしているライオンの、いかにも悪人っていう感じがいい。ライオンの顔で落とすという構成も面白い。絵や配色が上手で、配置の難しいシマウマの集団もよく描いていた。(くさか)

【牧野圭一賞】
 「開拓団ができて宇宙に派遣されているというシチュエーションが強烈な印象。『帰りてぇ』というせりふが心に残り、思いがしみじみと画面から伝わってくる。そこに感動した」(牧野)

【くさか里樹賞】
 「炎でフラフープを回している勢いにやられた。とにかく元気でポジティブでアクティブ。街中でフラフープしてる映像が頭に浮かんだ」(くさか)

【Moo.念平賞】
 「大ファンの竹中直人に似ていたので選びました。この顔がオチに来れば、前半は何でもいいと思うくらい。いい顔を描いてくれたなあ、君!」(Moo.)

【弐尉マルコ賞】
 「コロナのネタ以外を選びました。完全に新しすぎる生活を果たした作品。運び方も構成も『やるな』という感じです」(弐尉)

【木野陽賞】
 「どんどんエスカレートしていく漫画らしい演出。高い完成度で、細かな気配りで描かれている。前向きな明るいテイストなので、見ていて楽しい」(木野)

【クメヒロオ賞】
 「ほのぼの感がナンバーワン。キリンさんが高層ビルに配達するなんて、確かに新しすぎるなあ」(クメ)

【岩神義宏賞】
 「擬人化が好きなので、ルンバが王子様みたいになっているところと、落ち込んでいる女の子がルンバが来たことで理想の新しい生活に感動したところに引かれました」(岩神)

【ひのもとめぐる賞】
 「何もない宇宙ネタの、何もないこまで落とすのに『何!?』と思った1枚。宇宙はどんどん膨張しているという科学的小ネタを入れているのが面白かったです」(ひのもと)

漫画の良さ再認識 牧野圭一審査委員長
 令和2年は先生や生徒さんたちにとって、後から思い出して『コロナで大変だったけれど素晴らしい1年だった。漫画の良さを再認識した』となるのでは。作品は、非常にレベルが高く苦しんだ。(オンラインによる)東京での審査はやや無理じゃないのと思っていたけど、結果を見ると、こういう選び方でも審査員の皆さんがきちっと選んでいらっしゃる。これはこれで素晴らしく、うれしい。

伸び伸びと力発揮 くさか里樹審査員
 新型コロナウイルスを題材に、遊び心を持っていろんな角度から描かれた作品が多く、例年通り高校生のアイデアに驚かされた。自由に伸び伸びと力が発揮できていた。半面、チームで意見を出し合う機会が減ったためか、場面やせりふを描き込んで複雑になってしまった作品が目立った。

《勝手に贈る高知新聞学芸部賞》ペンネーム・山田花子さん(静岡・三島学園知徳高)
「人間社会の未来に大きな示唆を与えてくれました。安心、安全って、こういうことですね」(学芸部)

 ※主催者とまったく関係ない賞なので、賞金も賞品もありません。ちなみに題材にされた吉村領さん=左側の人物=からも、増刊号の生配信番組で個人賞を得た作品。

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カテゴリー: 文化・芸能まんが甲子園まんが

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