2020.08.01 08:00

【国会召集要求】首相は国民に説明尽くせ

 新型コロナウイルスの感染再拡大に国民の不安は高まっている。安倍晋三首相は現在の感染状況に対する認識や、今後の政府方針を国民に説明する責任がある。
 立憲民主党など野党4党が、憲法53条に基づく臨時国会召集の要求書を衆院議長に提出した。首相が国民への説明責任を果たしていないとして国会出席を迫る構えだ。
 国内の1日当たりの新規感染者数は連日千人を超え、緊急事態宣言時のピークを上回っている。宣言の解除後に東京を中心に感染者が再び増加し、地方にも広がっている。
 国を挙げた対応が求められる新たな局面といえる。立法と行政監視の機能を持つ国会の果たすべき役割があろう。安倍内閣は速やかに国会を召集すべきだ。
 経済再生と感染抑止の両立を掲げる政府の対応は迷走を重ねている。実施の直前になって東京除外など方針を転換した観光支援事業「Go To トラベル」を巡る混乱がそれを象徴する。
 共同通信の7月中旬の世論調査では、6割以上が全面延期すべきだったと回答している。与党内にさえ「地方で感染者が増えれば人災となる」という懸念が広がっていた。
 首相は「重症者を抑えられている点は他の国と違う」という認識だという。しかし今、経済重視の政策を続けて大丈夫かと感じている国民は増えているのではないか。
 政府による抜本的な感染抑止策が見えない中、地方や医師会にも不安と不満が渦巻いている。
 東京都医師会の尾崎治夫会長は、法的拘束力を伴う休業要請と補償を可能とする法改正の必要性を主張。一刻も早く国会を開いて国ができることを示し、国民を安心させるよう注文している。
 憲法53条は、衆院か参院の4分の1以上の議員が要求した場合、内閣は臨時国会を召集しなければならないと規定している。召集までの期間は示していない。
 安倍内閣は、野党が森友・加計学園を巡る問題を解明するため召集を求めた2017年に要求を約3カ月放置し、やっと召集した臨時国会冒頭に衆院を解散した。15年にも要求に応じなかった。
 17年の対応については那覇地裁が今年6月、要求を受けて臨時国会を召集するのは法的義務と認定した。違憲と評価される余地はあるとも指摘し、国会審議に消極的な安倍政権にくぎを刺している。
 政権側は今回も早期召集に否定的だが、国会をこれ以上ないがしろにすることは許されない。
 また首相は6月の通常国会閉幕翌日を最後に記者会見を開いておらず、閉会中審査にも出席していない。「危機的な状況で顔が見えないこと自体が国民に不安を与える」という野党の批判は当然だろう。
 国として、感染症対策と経済の両立という難題とどう向き合っていくのか。首相は国会の議論を通じて国民への説明を尽くすべきだ。

カテゴリー: 社説

ページトップへ