ワクドキ!こうち総文(6)

第44回全国高校総合文化祭「2020こうち総文」。いよいよ31日、特設ウェブサイトの中身が公開されて開幕します(10月31日まで)。新型コロナウイルスの影響でウェブ中心の開催とはなりましたが、8月6日には県内の文化部員が活動成果を披露する「実施報告発表会」、そして大会のハイライトとなる総合開会式などが行われます。
実施報告発表会では、吹奏楽や器楽・管弦楽、郷土芸能、放送、弁論などの部門が活動の成果を発表。ライブ配信される総合開会式にも県内の高校生が多数登場し、文化芸術の魅力を発信します。
大会の見どころを紹介してきた「ワクドキ!こうち総文」も今回が最終回。6日のステージに臨むミュージカル部とバトン部、日本音楽部門の生徒たちの姿や、ウェブサイトの主なコンテンツを紹介します。(「こうち総文」取材班」)
【ミュージカル部】自分を変えた!ミュージカル
8月6日 総合開会式で上演 部活動での成長描く
「ここは君の見せ場。何をやっても失敗じゃないから、思いっきりやってみて!」「もっと笑顔で!」
講師の熱い指導が飛び交う、高知市内の体育館。声の先には県内各地から集まった高校生たち。8月6日の総合開会式で披露する舞台の練習に打ち込んでいました。

本番に向けて、ダンスを練習するミュージカル部員。全身を使って表現します(高知市の県立盲学校)
47都道府県が持ち回りで開く総文。その総合開会式の目玉は、開催地の高校生による独自発表です。演奏やダンスなどを交えた構成劇などがよく行われますが、こうち総文では「ミュージカル」に挑戦します。なぜ?30年ほど前から市民ミュージカルが盛んな高知県。児童劇団のスタッフなど、指導者も大勢いたことから、「高校生を集めてミュージカルをやろう」と声が上がったのです。
2018年春、県内の中2~高1生から「ミュージカル部」の部員を募集。集まったメンバーはダンスや演劇の経験がない生徒も多く、演技の基礎から学びながら、本番への道のりを走り始めました。

キャスト全員による歌唱シーン。気持ちがあふれ出します(高知市のかるぽーと)
今回の演目は「生きとし生けるものの歌を……碧(あお)の国土佐日記異聞」。舞台は、とある学校のミュージカル部。土佐日記を書いた紀貫之がモチーフの作品で、何をやっても失敗ばかりの「沙羅」を中心に、部員たちが人と触れ合い成長していくさまを描きます。沙羅を優しく見守る先輩「リョウ」役の小津高3年、竹内来羽(くれは)さん。台本には、心のせりふや体の向きなどがびっしりと書き込まれていました。
自宅では、声を録音してみたり、全部のせりふをノートに書いてみたり―。集まってのけいこがストップしていた休校中も、できることをこつこつ続けてきました。「たくさんの人に生で見てもらえなくなったのは残念。でも、画面越しでもワクワクしてもらえるような舞台にしたい!」と意気込みます。

感情込め会話の演技(高知市の県立盲学校)
沙羅役の土佐女子高1年、野川愛梨さんは「沙羅は昔の自分みたい」とぽつり。「人見知りで、周りに上手く溶け込めなくて。ネガティブ思考な中学生でした」そんな時、母に勧められて総文ミュージカル部に加入。練習で歌を披露すると、予想外に高く評価され、うれしさがこみ上げてきたといいます。
「自分自身を嫌いになる必要なんかない|。それが、このミュージカルで伝えたいこと。私もそう。この部があったから自分を認めることができました。私の居場所なんです」
野川さんだけではありません。物語での部員たちとシンクロするかのように、他のメンバーからも「自信がない自分を変えられた」といった声が…。
メンバー21人の、等身大の思いが詰まった舞台はもうすぐ。2年間の思いよ、届け―。
【土佐女子高バトン部】悔しい思い でも前へ

一糸乱れぬ演技を目指して練習中(高知市の土佐女子高)
華やかな衣装に、はじける笑顔。大きな動きのダンスでも、見る人を圧倒します。「バトンの魅力は、お客さんを元気付け、笑顔にできるところ」。そう話す土佐女子高校バトン部のメンバーの目には、悔しさと希望の両方がにじんでいました。
総文では例年、幕開けを彩る大規模パレードが行われます。今年も高知市の中心商店街で計画され、バトン部も参加するはずでした。が、ウェブ開催に伴い、中止されました。
さらに、県外の振付師からダンスを習う日程も、新型コロナウイルスの影響で延期に。総文でもその振り付けを披露する予定だったそうで、部員たちは大きなショックを受けたといいます。
副部長の2年、上村真愛(まな)さんは小学生の時、帯屋町でのバトン部のパレードを見て入部を決めたそう。
「あの時の自分と同じように、人の心を動かしたい。親しみのある場所で、県外の人にも私たちのバトンをアピールしたい。そう思っていたんですけど…」
そんな中舞い込んできたのが、8月6日の実施報告発表会への出演。自分たちで踊りを考えなければならない上、少人数でのパフォーマンスが強いられますが、部員たちに「やらない」という選択肢はありませんでした。
部長の2年、粟屋凪紗さんは、「踊れるだけで本当にうれしかった。本番では、私たちの一体感をぜひ見てほしい」。歯がゆい思いを抱えながらも、今できる精いっぱいのバトンを―。部員の心は一つです。
【日本音楽・県合同チーム】5校9人で和の調べ

練習に励む合同チーム「こじゃんとはちきん」のメンバー(高知市の高知南高)
日本音楽部門も8月6日の実施報告発表会で、2グループが演奏します。その一つ、県合同チーム「こじゃんとはちきん」のメンバーは今、急ピッチで練習に励んでいます。琴と十七弦の構成で臨むメンバーは、岡豊、高知東、高知南、丸の内、学芸の5校9人。大会イメージソング「繋(つな)ぐ」と「よさこい鳴子踊り」とのメドレー曲を奏でます。
本来は、部門大会のオープニングで歓迎の演奏をするため結成された合同チーム。県内高校には和楽器専門の奏者が少なく、吹奏楽やソフトテニスなどの部員もメンバーに加わりました。
岡豊高3年、久保田紗菜さんも〝本籍〟は合唱部。「昨年のさが総文で、他県の人と一緒に大合唱したのが忘れられない」と話しますが、合唱は実施報告発表会での発表も見送られました。「ショックでした。その悔しさも込めて、ステージではいい演奏をしたいって思います」
一方、丸の内高3年の広田双葉さんは琴部の部員。昨年のプレ大会後に加入しました。「最初は音を合わせるのが難しくて、少しずつ良くなってきた頃に練習できなくなって…」。このまま演奏できなくなるかもと、不安だったといいます。
6月に入って、合同練習も再開。「47年に1度のチャンス、思いっきり表現したい」と意気込む広田さん。高校生が奏でる和の調べが、夏の土佐路にさわやかな風を吹き込むことでしょう。

世界に高知をPR! 英語での高知城案内動画を撮影する生徒実行委員会の国際交流委員たち
「WEB SOUBUN」31日開幕!
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