2020.07.09 08:40

いーよ!SATOUMI 新足摺海洋館7/18オープン(1)いい顔見てほしい

竜串湾の海中を再現した大水槽。魚たちが開館を待っている (土佐清水市の新足摺海洋館)
竜串湾の海中を再現した大水槽。魚たちが開館を待っている (土佐清水市の新足摺海洋館)
 お客さんまだかな~。この水族館で僕らあが泳ぐ姿、はよ見てもらいたいねえ。

 それにしても新しい水槽は快適。すみ心地は海の中そっくりやけん。「地域密着」とかで、目の前に広がる海で暮らす姿を、そのまま見てもらいたいがやと。

 イルカやアシカのショーはないけんど、潮だまりにおった小さい仲間も大事に展示されちょう。それから周りには海水浴場やマリンレジャー施設、キャンプ場もあって一日中、自然を満喫できるがやけん。

オオヘビガイの殻から顔をのぞかせるクモギンポを新野館長がぱちり
オオヘビガイの殻から顔をのぞかせるクモギンポを新野館長がぱちり
 ギョッ、開館まで9日。土佐清水では魚を「イヨ」と呼ぶがよ。皆さん、いよいよ会えるねえ。

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 土佐清水市三崎の新足摺海洋館「SATOUMI(さとうみ)」が18日にオープンする。竜串湾に面した2階建ての建物には水槽が70基。地域の海洋生物を中心に、350種1万5千点を展示する。

 コンセプトは「竜串全体が自然の水族館」。真新しい館内の様子や、開館準備に奮闘する飼育員らの姿を連載で紹介する。

2019年、移住者交流会での新野大館長=右から2人目。スマガツオの調理に興味津々。「飼育員は魚の味も知ってなきゃだめ」と語る (土佐清水市窪津)
2019年、移住者交流会での新野大館長=右から2人目。スマガツオの調理に興味津々。「飼育員は魚の味も知ってなきゃだめ」と語る (土佐清水市窪津)
土佐清水市でイヨイヨ会えるね
 18日にリニューアルオープンする高知県土佐清水市三崎の県立足摺海洋館。館長は生き物と食べることが大好きな新野大さん(63)だ。「世界最大級」をうたう海遊館(大阪市)の立ち上げに参加した〝仕掛け人〟が今回、挑戦するのは「目の前の海の生き物をじっくり観察できる水族館」。本来暮らしている環境づくりにこだわり、「ちっちゃいけど面白いぞっという生き物を、いっぱい展示したい」と意気込む。

 海遊館の建設時、新野さんは生き物を「飼育する立場」「魅力的に見せる立場」双方から、水槽を中心とした各種施設の検討に加わった。土佐清水市や沖縄県に設けた収集基地には、集めるべき海洋生物をオーダー。飼育現場で積み上げた経験を基に、全体運営までプロデュースできる人材、と言える。

 広報課長を最後に海遊館を退いていた新野さんに白羽の矢が立った理由は、まさにこの点。旧海洋館の存廃を議論した県の「あり方検討委員会」メンバーだった西田清徳・海遊館館長は「トップも現場を知っているべきだ」と新野さんを推したという。

 光と音響、映像による派手な演出の水族館が増える中、新野さん自身は「身近に生息しながら知られていない、不思議な形やきれいな色の生き物を、じっくり見てほしい」と考えていた。館長就任を即決、2018年に土佐清水市へ移住してきた。

 竜串湾は足摺宇和海国立公園の中核。造礁サンゴ約100種を数える全国有数の群生地で、国内で確認されたウミウシの約25%、384種も生息する。

 「竜串湾を含め、土佐湾は生き物の宝庫」が新野館長の実感だ。握った網を岸壁から伸ばせばタツノオトシゴが捕れ、定置網にはウミガメが掛かる。沖縄・久米島でしか見たことがなかったヒメツバメウオの稚魚も、港で採集できた。この地域色を生かせば、「海の多様性を知ってもらえる展示になる」と力を込める。

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 新海洋館は地域の海や川にすむ魚類やサンゴ、ウミウシなど1万5千点を展示する。「豊かな海は森から始まる」という考えの下、「森→川→海」の順で紹介。目玉の大水槽(幅13・5メートル)は熱帯と温帯の魚が混在する珍しい展示で、竜串湾の豊かさをそのまま再現している。

 新野館長のいち押しは「足摺の海」コーナー。館周辺の浅い海の生き物が中心で「日常では目につかない、小さな生き物のかわいさや面白さを丁寧に展示したい」という思いが詰まっている。例えば…。

 貝殻やサンゴの穴から出した顔をキョロキョロさせるギンポの仲間が観察できたり、砂から目だけのぞかせたアカエソとにらめっこできたり。宝石のショーケースのような小さな水槽に、静かな海の営みが広がる。

 新野館長が「心配で心配で、休日も見に来ていた」という生き物の搬入も、大型のものはほぼ完了した。目指すのは「生き生きと、いい顔をした魚が泳ぐ水族館」。暮らしている環境の再現にこだわれば、魚たちはいい顔になる。その点はどこにも負けない、という新野館長の信念が詰まっている。 (清水支局・山崎彩加)


 新野大(にいの・だい)1957年、東京都生まれ。東海大学海洋学部水産学科卒業。新潟県の瀬波水族館、青森県の浅虫水族館を経て、1989年に海遊館開館準備のため、大阪ウォーターフロント開発入社。2019年足摺海洋館館長に就任。

カテゴリー: 環境・科学幡多

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