2020.07.04 14:36

光回線、来る?来ない? 高知県内1.2万世帯が未整備

中山間地域の通信環境をどう整備していくか(県内)
 地理的ハンディ解消は  国が予算化しても...二の足踏む市町村も
 授業や会議、飲み会に帰省…、新型コロナウイルス感染拡大で、今や何もかもがオンライン頼み。その通信を支える光ファイバー回線が届いていない地域がまだある。そこで政府は巨額の補助金を用意して一気に整備することに。ハンディを負ってきた地域に“光”は届くか―。

 「光なんです。光ファイバーさえ通っていれば…」

 今春、東京から高知市に移住してきた佐久間雄一郎さん(40)、寿弥子(すみこ)さん(37)夫妻が残念がる。雄一郎さんは元大手銀行マン。移住ツアーで高知暮らしの魅力に触れ、四国銀行に転職した。

 新居探しで目に留まったのが、自然豊かな高知市鏡地域。ところが、障壁があった。

 寿弥子さんは都内の菓子店に勤務し、リモートワークで働く契約を結んでいる。ネット会議で遠隔地とやりとりする日々のため、安定した通信環境が欠かせない。しかし、鏡地域は光ファイバーが未整備で…。

 夫妻は仕方なく、市街地のマンション暮らしを選んだ。

■速度以上の格差
 光ファイバーは高速・大容量の通信手段。総務省によると、高知県の利用可能世帯率は96・1%(全国平均98・8%)で、約1万2千世帯が未整備だ。これらのエリアでは、鏡地域のようなハンディを抱えてきた。

 しかし、それが解消されるチャンスが訪れている。皮肉にも、きっかけはコロナだ。

 総務省は各分野でオンライン需要が高まったとして、コロナ対応の補正予算で光ファイバー整備に計530億円を計上。高市早苗総務相は「全国の整備目標を前倒しで達成する。要望のある全ての地域で整備を進められる環境を整える」と記者会見で胸を張った。

 整備の加速は、ネットを活用した教育環境を整備する狙いが大きかったとされる。県教委教育政策課の菅谷匠課長は「今は想像していないような学び方が広がる。将来の展開には高速の通信環境が必要です」と強調する。

 この朗報に「ようやく来そうです! 本当にうれしい」と喜ぶのはNPO法人「土佐山アカデミー」(高知市土佐山桑尾)の吉冨慎作事務局長。

 鏡地域の隣の土佐山地域も「光」の空白地帯。吉冨さんによると、高速通信がないことで、住民が情報発信をあきらめるケースもあったという。「光回線の有無は通信速度以上の格差。このままでは、ますます都市部との差が広がると感じていた」と、整備への期待を隠さない。

■モモンガが…
 県内で未整備世帯がある市町村は15。今回の補助金に、国が自治体に配る地方創生臨時交付金などを組み合わせれば、市町村負担は事業費の1割以下になるケースもあり、多くは前向きの対応を示す=表参照。

 ただ、初期投資を抑えられても、維持管理などの負担は残る。

 光ファイバー網の整備は、人口が多いエリアでは民間が営利事業で進めてきた。裏返せば、未整備地域は加入者数が見込めない不採算エリア。民間が手掛けるとしても、運営赤字や設備の維持費は実質的に行政がカバーすることになる。

 高知市の担当者は「補助金で不採算が変わるわけではない。以前も整備は検討したが、モモンガに線をかじられたりして維持費がかさむようで…」。

 続けて「整備は検討するが、限られた財源の中で、光回線が水道や道路のような優先順位になるかどうか」と歯切れはいまひとつ。同様の事情、考えから整備に二の足を踏む市町村は他にもあるとみられる。

 一方で「千載一遇のチャンス。より有利な波が来ることはない」とねじを巻くのは、総務省から出向中の津田康平・県情報政策課長。各市町村を直接訪ね、整備を促す。

 情報環境か、財政負担か―。各自治体は将来を見据えた判断を迫られている。

快適通信は生活基盤
 地域の情報化に詳しい菊池豊・高知工科大特任教授の話 生活の各場面でインターネットが不可欠。特にこれから社会を支える層には「大前提」だ。今後は行政サービスの改善、効率化にもつながる。

 このことを行政が認識しているか。...

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カテゴリー: 社会

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