2020.07.04 08:56
高知のコロナ感染「看護師自殺」はデマ 院長が否定、ネットで悪質投稿拡散「放置できない」
「看護師は解雇され、心を病んで自殺した」「自殺未遂して引っ越した」―。高知県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認された30代の女性看護師を巡り、インターネットなどに事実無根の情報が氾濫している。感染判明から4カ月が過ぎた今も、ネット上に悪質な匿名投稿が拡散。実社会でも「事実」のように語られている。そんな中、看護師の勤務先の院長が高知新聞の取材に応じ、「彼女はちゃんと生きている。自殺や解雇はデマだ」と否定した。
中内整形外科クリニック(高知市旭上町)の中内睦郎院長(57)。これまでは取材対応を控えてきたが、虚偽の情報拡散が収まらない状況を受け「看護師やクリニックを巡るデマを払拭(ふっしょく)したい」と口を開いた。
看護師の感染は、高知県などが2月29日に「県内1例目」として発表。中内院長はクリニック名の公表を県と市に了承した。「非公表にすることで臆測や混乱を招きたくない。医療従事者として黙っていることはできない」との思いからだった。
しかし、世間の反応は冷酷で苛烈だった。ネット上では、感染した看護師を「加害者」と決めつける書き込みが相次ぎ、クリニックにも「責任を取れ!」「閉院しろ!」とバッシングや嫌がらせの電話が連日かかった。…